アート、グルメ、ファッション……あらゆる文化で世界中の人々を魅了する華の都・パリ。そのエスプリ(精神)を日本の京都で感じられるホテルがあることをご存知でしょうか?
「フォションホテル京都」は、130年以上前にパリで創業し、高級ペストリーやマカロン、紅茶などを手がける美食トップブランド「フォション」の世界観に浸れるホテルです。フォションピンクを基調にした胸がときめく客室で、フォションのスイーツや紅茶を楽しみ、東山を望むレストランでガストロノミーを堪能する――。パリと京都が融合した唯一無二のホテルの全貌を詳しくご紹介します。
パリに続く世界2軒目の「フォションホテル」が京都に
1886年にパリ・マドレーヌ広場で創業した「フォション」。世界中から選び抜いた旬の食材を用いた高級ペストリーやマカロン、チョコレート、ジャム、紅茶などの販売を手がけ、現在、フランスや日本、UAEなどで計73のブティックを展開しています。
また、ピエール・エルメ、クリストフ・ミシャラク、ドミニク・アンセルなど、世界で活躍するパティシエを輩出していることでも知られています。
そのフォションの美食と、本質を大切にするパリらしい暮らしを体験できるのが「フォションホテル」。パリに続く世界2軒目、日本初上陸となるフォションホテルとして、2021年3月に「フォションホテル京都」が誕生しました。
世界2軒目の地として京都が選ばれたのは、京都市とパリ市が姉妹都市であること、互いに1000年を超える都で洗練された伝統文化の中心地であることなど、数多くの共通点がみられるのが理由。
フォションホテル京都では、「FAUCHON Meets Kyoto. feel Paris.」をコンセプトに掲げ、フォションの世界観に京都の伝統的なエッセンスを取り入れた空間で、パリジェンヌ・パリジャン気分を満喫できます。
アクセスは京阪電車・清水五条駅より徒歩約6分、阪急電車・京都河原町駅より徒歩約10分。すぐそばには鴨川や高瀬川が流れ、繁華街の四条河原町まで徒歩約10分の便利な立地にあります。京都駅からバスでもアクセスでき、ホテル目の前の河原町松原バス停まで約15分で到着します。
フォトジェニックな大階段に一目惚れ
パリらしいファサードにワクワクしながら館内へ入ると、眩しいほど美しい大理石の大階段がお出迎え。日本の春を代表する花で、京都市の花でもある桜をあしらった天井のステンドグラスや、フローラルな香りのフレグランスも相まって、気持ちまで舞い上がります。この洗練された雅なエントランスはフォトスポットとしても人気です。
チェックインはホテル最上階の10階にあるレセプションで。「ボンジュール」と笑顔で迎えられ、フォションホテル京都での特別な滞在がはじまります。
レセプション内はフォションのブランドカラーであるフォションピンク、ホワイト、ブラック、ゴールドで彩られ、「かわいい!」が止まりません!
この4色は館内全体のキーカラーになっていて、西洋の素材と日本の素材を用いて表現されています。例えば、ピンクのソファーには西陣織を採用。壁の棚には江戸時代中期の伊万里焼や輪島塗の重箱など、日本の伝統工芸品が並んでいます。
ウェルカムティーとマカロンをいただきながらチェックイン。フォションの美食体験がここからスタートします。この日は、ローズのマカロンと、フルーティーな香りの紅茶「ブルーマロウ & ストロベリー」をいただきました。マカロンはパリから直輸入しているこのホテル限定のもので、14種類のフレーバーからランダムで提供されます。
フォションピンクが印象的なかわいい客室
客室は5タイプ、全59室。今回は「スーペリア」(約38平米、定員2名)に宿泊しました。フォションピンクをはじめとする4色のキーカラーがセンスよくレイアウトされ、恋に落ちてしまいそうなかわいさです。
フォションピンクのソファーは西陣織で、1688年創業の西陣織の老舗「細尾」12代目の細尾真孝さんが手がけています。
客室内にも日本の伝統技術が光ります。日本を代表するキモノデザイナー、テキスタイルアーティスト・斉藤上太郎さんが手がけたヘッドボードは、さまざまなメタリックヤーンを西陣織のジャガード技術で織り上げたもの。天井はゴールドの和紙、そして照明は、北山杉の産地にアトリエを構える「村山木工」による木材と和紙で作られたものを採用しています。
スーペリアの客室からの眺望は東山ビューとシティビューの2タイプあり、「東山ビュー」のお部屋からは高瀬川や鴨川から東山まで、京都らしい街並みを一望できます。春は高瀬川沿いの桜並木、夏は新緑、秋は紅葉と四季折々の風景も魅力です。
フォションのスイーツ・紅茶を自由に堪能できる「グルメバー」が全室に
そして、客室に入ってからずっと気になっていたシャンパンピンクのクローゼットを開けてみると……。
フォションのスイーツがずらり! これは「グルメバー」というフォションホテル究極のおもてなしで、全客室に用意されています。ここに入っているクッキー、チョコレート、ケーキなどは、すべてフリー! 夢のようなクローゼットです。(内容は日によって変わります)
テーブルにはフォションの紅茶が入ったティーボックスが。アールグレイやフレーバーティー、人気の「ラ・ポム(アップルティー)」など8種類が用意され、これも自由に楽しめます。また、エスプレッソマシンもあり、淹れたてのコーヒーを味わうことも。
滞在中、いつでもティータイムを楽しめ、食べきれなかった分は持ち帰りOK! 自宅でもフォションの美食を堪能できます。
この7月からは、フォションホテル京都限定デザインの「フォション・エコ・トートバック」が宿泊者限定特典として全室に登場。パリのデザイナーがこのホテルのために書き下ろしたもので、ほかでは販売していない、宿泊した人だけが入手できる貴重なアイテムです。グルメバーのアイテムを持ち帰るのにも、京都散策や日常のショッピングにも大活躍してくれそうです。
さらに、客室にはオリジナルのおしゃれなレターセットやポストカードのプレゼントも。ポストカードは季節によって変わるので、どんなデザインかはお楽しみ。
ラグジュアリーなバスルーム、かわいいアメニティにも一目惚れ
バスルームは大理石を基調としたラグジュアリーな雰囲気。トイレの扉はゴールドの西陣織で、“CLOUDS”雲をモチーフにデザインされた繊細なテキスタイル。こちらも細尾真孝さんの作品です。
スーペリア以上の客室には、足を伸ばしてゆっくり浸かれる大きなバスタブ付き。西洋的な中に、壁の菱形の文様が日本らしさを加えています。
バスアメニティは、フォションオリジナルのシャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、ボディローションを用意。華やかな香りで優雅なバスタイムを過ごせます。フォションらしい唇デザインのソープディッシュもとってもキュート!
ヘアードライヤーは、大風量で素早く髪を乾かしてくれると評判のダイソン製。ボックスもドライヤーもピンクで統一されています。
なめらかな肌触りのバスローブやナイトウェアもフォションオリジナル。友だち同士やカップルでバスローブやパジャマを着て写真を撮るのもおすすめ。ふかふかのスリッパも同じデザインです。
そして、DO NOT DISTURBカードにも注目。DO NOT DISTURB=「夢の途中です」、MAKE UP MY ROOM=「京都を満喫中」と、ウィットに富んだ表現にもときめきます。
また、客室にはロゴ入りのエレガントな傘も用意されています。こんなおしゃれな傘があれば、雨の日のお出かけも楽しくなりそうです。
スイートからデラックスまで、スーペリア以上の客室
ゆとりの広さの「デラックス」
ほかの客室もご紹介しておきましょう。「デラックス」(約45平米、定員2名)はスーペリアより広く、大きなソファーを備えています。眺望は東山ビューとシティビューの2タイプあります。
バスルームもスーペリアに比べ、余裕のあるつくり。洗面台も2人同時にメイクできるほど広々としています。
リビングとベッドルームが区切られた「スイート」
デラックスよりさらに広いのが「スイート」(約56平米、定員2名)。リビングとベッドルームが区切られた、ワンランク上のステイが叶うお部屋です。シティビューの客室には白い窓枠をしつらえ、パリのアパルトマンのよう。
スイート以上の客室は、4色のキーカラーに加え、落ち着いたパープルを取り入れたシックなデザイン。ヘッドボードはモダンな市松模様です。
最上級の客室「プレステージスイート」
最上級の客室が「プレステージスイート」(約61平米、定員2名)。リビングとベッドルームがそれぞれ独立した空間になっています。大きなウォークインクローゼットも備え、長期滞在でも快適に過ごせます。こちらも眺望は東山ビューとシティビューの2タイプ。
さらに、プレステージスイートはバスルームも別格です。信楽焼の大きな特製バスタブ、京都の職人が手作業で仕上げた本物の竹を用いた壁など、日本の伝統美を堪能できます。
パリの美食を京都で味わう。レストランでのディナー
ディナーは10階「Restaurant Grand Café Fauchon(レストラン グラン カフェ フォション)」で、フランスと京都のガストロノミーに舌鼓。窓一面に東山の大パノラマが広がり、高級感あふれる空間で、「フランス料理の伝統と、京都・日本という土地や実りを活かして、フォションの名に懸けた美食を提供する」という強い想いを体現した料理を味わえます。
メニューはシーズンごとに変わり、取材時の春は、アミューズブーシュ「フォションキャビア 北海道産発酵バターとサワークリーム香るジャガイモのフォンダン」からスタート。とろけるジャガイモとフランス産キャビア、可憐な白いお花のようにあしらわれたカリフラワー。1品目からその美しさに心を奪われました。
ぜひ味わっておきたいドリンクが、ピンク色がかわいい「フォション ブリュット ロゼ」(グラス2,200円)。日本ではここでしか飲めない特別なシャンパンです。上質なベリーの香りや泡が幸福感をもたらし、特別な夜を演出してくれます。
続いて登場した華やかな一皿は、前菜「サラダ グルマンディーズ 鰻の炭火焼きカベルネソーヴィニョンとフォションキャラメルのラッケ 京野菜とアーティチョークのコンビネゾン」。グルマンディーズとはフランス語で「ごちそう」、ラッケは「照り焼き」の意味。
鰻や京野菜といった和の食材と、贅沢にスライスされたトリュフやアーティチョークといった西洋の食材が見事に融合しています。周りのカラフルなソースとともに口に運ぶたび、新しい味が広がる味の七変化を楽しみました。
魚料理は「ダージリンソルトでマリネした鰆の低温ロースト ジンジャー香る温かいブイヨン 木の芽を添えて」。目の前に運ばれてきて、ガラスの蓋を開けると、近江牛からとったブイヨンとジンジャーの香りがふわり。お刺身でも食べられるほど新鮮な鰆はふわふわの食感で、筍や木の芽とともに春を満喫しました。
肉料理は「近江牛の高温グリエ 北海道産 雲丹のグラチネシトラス香る近江牛のジュ」。ミディアム・レアに火入れされた近江牛は驚くほどやわらかく、口の中でとろけ、シェフの技術の高さを実感しました。
デザートは「季節のフルーツコンポートとソルベ」というシンプルなメニューながら、飴細工で2層に仕上げられ、細部までフォションらしい美意識を感じます。
食後のドリンクは南部鉄器の急須で、フルーティーな紅茶「ハピネス!」を堪能。「フォションの名に懸けた美食」はさすがとしか言いようがない傑作でした。
レストラン グラン カフェ フォション
- 朝食
- 7:00~11:00 (L.O.10:30)
- ランチ
- 11:30~15:00 (L.O.14:30)
- ディナー
- 17:00~22:00 (L.O.21:00)
バー「ル・バーフォション」で食後の一杯を
ディナー後、レストランと同じ10階にあるバー「ル・バーフォション」へ。ゆったりとしたソファーで、お酒を片手に会話を楽しめます。
バーでは、限定の「フォション シグネチャー カクテル」(1,980円)や、ディナーでもいただいたシャンパン「フォション ロゼ」(2,200円)をぜひ。「フォション シグネチャー モクテル」(1,980円)などノンアルコールドリンクもあるので、お酒が苦手な人も楽しめます。
ル・バーフォション
- 営業時間
- 金・土・日曜日のみの営業、15:00~22:00(L.O.21:30)
ホテル限定のクロワッサンも味わえる! パリ気分に浸れる朝食
翌朝はゆっくり起きて、「レストラン グラン カフェ フォション」で朝食を。レストランは最上階にあるため、眺めも抜群。眼下に流れる鴨川や清水寺、平安神宮など古都・京都の街を見渡せ、東山から昇る朝日を浴びながら食事を楽しめます。
朝食メニューは、卵料理、サラダ、パン、ヨーグルト、ベーコン、フォションホテル京都オリジナルマリネサーモン、チーズセレクションなど、美しい料理がテーブルを彩ります。
特に絶品なのが、毎朝ホテルで焼き上げるパンたち。これを食べるためだけに泊まりに行きたくなるほど! クロワッサンはフォションホテル京都オリジナルのレシピで作られ、販売もしていないため、これを味わえるのは宿泊者だけの特権です。
サックサクで香ばしく、バターの香りが芳醇に広がるクロワッサンやパンオショコラは、パリで食べる本場の味。クロワッサンやカフェラテをいただきながら、外に目をやると、鴨川がセーヌ川に思えてきます。気分はもうパリジェンヌ!
また、フォション伝統の味「フォションジャム」も一緒に堪能できます。
卵料理はオムレツ、スクランブルエッグ、サニーサイドアップ、ポーチドエッグから選べます。鶏にとってストレスのない、平飼いにこだわる「京都大原山田農園」の卵を使用しています。美しいクラシックなフレンチオムレツにもシェフの技を感じます。
ヨーグルトと牛乳は、京都府南部に位置する「京都クローバー牧場」のもの。牛乳は、特別な飼育環境や搾乳施設が必要なため、日本で4か所しか製造が許されていない「特別牛乳」という貴重な牛乳で、濃厚な味ながら、さっぱりとした上品な口あたりです。
そして、朝食にもフランス直輸入のマカロンが登場します。フォションピンクの器に入ったマカロンはとってもキュート! フォションオリジナルの紅茶とともに味わう至福の時間を再び体験しました。
フォションの名を冠した世界初のスパ「ル スパ フォション」
チェックアウト後もまだまだフォションの世界を堪能します。フォションの名を冠した世界初のスパ「Le Spa Fauchon(ル スパ フォション)」では、フォションピンクに染めた畳が印象的なお部屋でトリートメントを受けられます。
人気は、ボディケアメニューの「シグネチャートリートメント」(60分 20,570円)。プレミアムコスメブランド「KOS PARIS(コスパリ)」とコラボレーションし、日本人の肌質や好みを反映したオイルを使用する特別なトリートメントです。オイルは京都の竹林をイメージしたウッディな香りで、マッサージはフランス流。ダイナミックに筋肉にアプローチしながら、心地よいリズムで極上の癒しへと導いてくれます。
オプションで、プライベートバス(30分 5,445円)も追加可能。フォションピンクのバスタブでフラワーバスやバブルバスを楽しめ、幸せな時間に浸れます。
ル・スパ フォション
- 営業時間
- 11:00~22:00(最終受付19:00)、不定休
「サロン ド テ」のアフタヌーンティーも見逃せない!
最後に、2階にあるティーサロン「Salon de Thé Fauchon(サロン ド テ フォション)」で、優雅にアフタヌーンティー(5,500円)をいただくのもおすすめ。季節のスイーツやセイボリーを、フォションオリジナルの紅茶やフレーバーティーとともに味わえます。
サロン ド テ フォション
- 営業時間
- 11:00~20:00(L.O.)
アフタヌーンティーは11:00~17:00(予約制)
※価格は変更になる場合があります
限定のスイーツや紅茶がそろうショップでおみやげ選び
ホテルをあとにする前に、1階にあるショップ「Pâtisserie & Boutique Fauchon(ペストリー&ブティック フォション)」でおみやげ選び。マカロンやケーキ、焼き菓子、紅茶、ジャムなど、目移りするほど多彩なグルメアイテムが並んでいます。
マカロンは1個から購入でき、限定の「ビズビズ缶」も人気です。ビズビズとはキスの意。
また、ここではプライスカードに付いているビズビズマーク(キスマーク)に注目を。このマークはフォションホテル京都の限定品を表しています。パリのフォションホテルで販売しているものもありますが、日本ではここでしか買えない貴重なアイテムです。
ディナーやバーでいただいた限定の「ロゼ シャンパン」(750ml 9,130円)も購入できます。グルメアイテムだけでなく、バスローブやパジャマなども販売されていて、フォションホテル京都の雰囲気を自宅でも楽しめます。
ペストリー&ブティック フォション
- 営業時間
- 11:00~20:00(L.O.)
フォションの世界観を堪能できる日本で唯一のホテル「フォションホテル京都」。かわいいフォションピンクの客室でゆっくり過ごしながら、本場・パリの美食に酔いしれる――。海外旅行が難しい今こそ、京都でパリ旅行気分に浸ってみませんか?
フォションホテル京都
- 住所
- 京都府京都市下京区難波町406
- アクセス
- 京阪本線「清水(きよみず)五条駅」徒歩約6分
- 駐車場
- なし
- 客室数
- 59室
- 客室タイプ
- クラシックルーム(35平米) 6室
スーペリアルーム(38平米) 32室
デラックスルーム(45平米) 7室
スイート(56平米) 7室
プレステージスイート(61平米) 7室 - 共通設備
- グルメバー、フォションホテルオリジナルアメニティ、Silly製マットレス、ネスプレッソマシン、Wi-Fi無料接続、ミラーリング・クロームキャスト対応テレビ、Bluetooth対応モバイルスピーカー、ターンダウンサービス など
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 12:00
- 宿泊予約
- 楽天トラベル「フォションホテル京都」宿泊プラン一覧
取材・撮影・文/小浜みゆ