825円(税込)
「とにもかくにも人は、もののあはれを知る、これ肝要なり……」。本居宣長七十二年の生涯は、終始、古典文学味読のうちに、波瀾万丈の思想劇となって完結した。伊勢松坂に温和な常識人として身を処し、古典作者との対話に人生の意味と道の学問を究めた宣長の人と思想は、時代をこえてわれわれを深い感動の世界につつみこむ。著者がその晩年、全精力を傾注して書きついだ畢生の大業。
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読んでみたいと思いながら、後回しにしていた小林秀雄。
没後40年にあたり、初めて手にした。
学生時代に中原中也を好んで読んでいた頃の印象で、小林秀雄を「中也と女性を奪い合った」というエピソードでのみ歴史に登場する人物、と長らく思っていたが、違った。
さて、本書『本居宣長』だが、そのスコープは、本居宣長が信じた「学ぶ力」「もののあはれ」「やまとごころ」にあると見える。
江戸初期の林羅山から始まる当時の官学=朱子学=漢学をメインストリーム或いは「実用」とするならば、宣長はそこへ「理想」というコンセプトを持って学を提案する。
儒教のような「海外の教え」を重宝がるばかりで、何故日本の心を学ばないのか、と宣長は問う。
和歌の名作の含蓄を真似て作るのは容易であるが、言葉を真似る方が難しい。
古典の解釈ばかりでなく、今の心をそのまま表すことが肝要、、
彼はひたすら、長いものに巻かれることを拒否しているようだ。
本居宣長という人は、歌人という肩書でありながら、現代にも通じる政治思想を形成した人物だと聞く。
下巻の展開が楽しみだ。
一つ自分自身へのメモとして。
小林秀雄の主張は時折非常に観念的で、かつ詳細にわたり、どちらとも取れるような解釈や、そうとは言い切れないようなことなど、細い糸の上すれすれを歩くような感覚になる。
勿論名著に違いはないのだが、この一冊だけを読んでいる間に、その深度故に、やや視界が狭まる感覚を覚えた。
西洋思想に比較すると、言葉への拘りは日本独特のものと思われる。
自国の思想史を学ぶことは尊いものだが、一方他国に広くある視点から離れすぎることには、やや危機感がある。
自分は特定分野の研究者などではないため、同時に二冊以上の本を並行して読むなどして視点のバランスを保っていくことは必要だと、改めて認識した。
勿論名著には違いないが。
まだ5分の1程度しか読んでないが
少々抜粋→私が、彼の日記を読んで、彼の裡に深く隠れている或るものを想像するのも、又、これを、(中略)
この人というか、一人では無いだろうけど、やはり宣長が初代天皇を創出したんだろうと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
「とにもかくにも人は、もののあれはを知る、こと肝要なり…」。本居宣長七十二年の生涯は、終始、古典文学味読のうちに、波瀾万丈の思想劇となって完結した。伊勢松坂に温和な常識人として身を処し、古典作者との対話に人生の意味と道の学問を究めた宣長の人と思想は、時代をこえてわれわれを深い感動の世界につつみこむ。著者がその晩年、全精力を傾注して書きついだ畢生の大業。
本の感想(オフィス樋口Booksより転載、http://www.books-officehiguchi.com/?p=16791)
この本の冒頭に、著者の小林秀雄氏が本居宣長について書いてみたいという思いや経緯について述べている。雑誌に記事を連載するにあたって著者自ら松阪に出かけて宣長の墓を訪ねたエピソードもある。
全体的な感想として、原文(歴史的仮名遣いと漢文の書き下し文)をそのまま引用しながら解説しているので難しいと感じるかもしれない。
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