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鎖国下の江戸時代、日本独自の数学文化が華ひらく。なぜ男たちは和算に人生を賭けたのか。いかにして世界に先駆ける研究成果を生み出したのか。吉田光由、渋川春海、関孝和、建部賢弘、有馬頼ゆき、会田安明、山口和、小野友五郎……個性豊かな8人の天才たちの生涯から、江戸流イノベーションの謎に迫る歴史ノンフィクション。
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江戸時代に活躍した和算の天才数学者8名について、研究した結果をまとめた本。教科書に出てくる関孝和や、最近話題の「天地明察」の渋川春海など、江戸時代の数学者達は、世界的にも高いレベルの知識を持っていたことがわかっており、また庶民の間でも数学は人気があって、日本全体として数学レベルは高かったらしい。世界に誇る和算の概要を知ることのできる一冊。
「和算の世界は、ルーツである中国や朝鮮を超えて発展した。それは、戦後の日本の自動車産業が、品質管理とたゆまぬ改善努力で、本家本元のアメリカを超えて発展したのと似ている」p169
『天地明察』に触発されてこの本を読んだのだが、思っていたよりもおもしろかった。
『塵劫記』で有名な吉田光由に始まり幕末から明治にかけて活躍した小野友五郎まで、八人の和算家について書かれている。
数学者というとなんとなく一部の頭のいい人達が何か難しいことを一生懸命やっているというようなイメージを勝手にいだいていたのだが、この本を読んで、数学というのは、土木、暦、操船術などにおいて我々の生活に無くてはならないものだったのだということを改めて気付かされた。
そして、鎖国という他国の優れた知識から隔絶された不利な状況においても、楽しんで数学の未知なる分野に挑んでいった先駆者たちが多数いたことに大変感銘を受けた。
『和算の大家 関孝和(上毛カルタより)』
といえば我が郷土、群馬県を代表する偉人だ。
さて、我らが天才和算家の活躍でも読ませてもらおうか、と思って本書を開いたが、いきなり「関孝和の出生地は実はよくわかっていません」ときた。
ま、マジで!?
著者も書いているけど、もし江戸で生まれたなんてことになったら群馬県は大騒ぎになっちゃうよ。
群馬県人にしか理解できない想いはひとまず横に置いといて……
筆者も冒頭で書いているように本書に取り上げられている8人の和算家の選抜方式は、決して学術的な実績の優れている人物を上から8人選んだというわけじゃない。
江戸時代に数学が人々の間でどういう風に楽しまれ、発展し、歴史に影響していったのかを俯瞰的に見るために選抜された8人である。
関孝和目当てで本書を開いた僕だけど、一番興味深く読んだのは山口和の章だ。
彼は学者としてトップを目指してしのぎを削るような道ではなく、全国を遊歴して地方の数学愛好家たちに数学を教えることに生き甲斐を見出した。
彼はなるべく辺鄙なところを選んで行ったということだが、驚いたのはどこにいっても江戸の進んだ数学を教えて欲しいという数学愛好家がいるので宿に困らなかったというところだ。
日曜画家ならぬ日曜和算家が全国津々浦々にいたなんて、理系離れなどと言われて久しい昨今、信じがたいようなことだが、同時にちょっと嬉しいような気がするのは何故かしら。
読み書き算盤というように、ある程度の計算力は商人はもちろんそれ以外でも必要不可欠なものだが、それ以上となると現代でも実生活の中で役に立つことは少ないくらいだから、当時はもう完全に趣味の世界だ。
可処分時間に数学をたしなむ。
なんて豊かな生活だろう。
サッカー界では日本より人口が少なくてもずっと強い国がある。
そういう国には優れた選手を育む周囲の理解や審美眼がある。
本書に取り上げられている8人の天才たちも彼ら独りだけの力で天才足り得たのではなく、その才能の種に発芽をうながすだけの土壌があってのことだろう。
花を愛でるということは、土を知ることでもあるとわかった。
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