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復興に向けて粛々と努力します。ーー政治家や役人がよく使う「粛々」という言葉は、元をたどると、古代中国で鳥が羽ばたく様子を表す擬態語だった。我々がふつうに使っている漢字の熟語の中には、このようにそもそもは擬態語だったものが、実は多数含まれている。それらは本来どういう意味で、どのように輸入されて「日本語化」していったのか……。
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これは眼から鱗。「ぶつぶつ」「どきどき」といった和語の擬態語はなじみ深いけど,中国から伝わってきた漢語の擬態語もあって,日本人も長い間親しんできたんだよという話。
漢字は表意文字で,字自体が意味をもつという固定観念があったので,今まで意識したことがなかったが,漢語に擬態語があるのはまったく自然で,何の不思議もない。説得力のある一冊。
「堂々」「丁寧」「揶揄」といった,漢字の意味だけからは解釈しきれない言葉で,音をリズムよく重ねることで何らかの状態を現す言葉が漢字の擬態語と言える。「堂々」は同じ音が続く畳語,「丁寧」は終り方を重ねた畳韻語,「揶揄」は始りを重ねた双声語で,和語の擬態語も,「うろうろ」は畳語,「うろちょろ」は畳韻語のように同様の特徴を持つ。
擬態語では漢字の意味ではなく音の響きが重要なので,表記が一定せずいろいろな形で書かれる。それが擬態語のサインらしい。「揶揄」ははじめ「邪揄」とも書かれ,「邪」に手偏が付いた形でも書かれていたそう。それなのに,後世の漢和辞典は,擬態語から逆算して字義を創設したりしていてややこしい。
「齟齬」とか「齷齪」とか「矍鑠」とか「酩酊」とか,一定の言い回にしか出てこないような漢字って結構多い。何とも効率の悪いことだなあと思っていたんだけど,もっぱら音を写すのに使われ出した表記が,表意文字体系の中で変化しつつ定着していったと考えるとなるほど合点がいく。
そして日本人による漢字の擬態語の受容。多くの古典や,講談に繰り返し出てきたり,超有名作品で人口に膾炙したり,その積み重ねで日本は多くの擬態語を中国から輸入してきた。一方で当然限界もある。音韻体系が異なることから,音の響きをそのまま受け入れることはできなかったし,日本の中で流通していくうちに,独自の変遷を遂げた擬態語もある。タイトルの「粛々」のように,政治が言葉の意味を変えていくこともある。ちなみに「颯爽」は中国では女性について使うことが多いそうだが,それは毛沢東の詩「颯爽英姿五尺槍 曙光初照演兵場 中華児女多奇志 不愛紅装愛武装」の影響とか。
言葉と文化って本当興味深いな。円満字さんの本は当たりが多い。またいろいろ面白いのを期待。
「漢字の擬態語」って何だ? と思いますが、まさに漢字で書かれている擬態語のこと。擬態語というと、ひらがな、かたかなで書くイメージですが、確かに中国では漢字で書くしかない訳です。
「粛々」は一例として、中国で擬態語として使われていたであろう言葉が日本に伝わり、漢字のまま擬態語になったり、あるいはそれが変化して行ったりということを解き明かしていきます。
本書のテーマからは外れますが、「粛々」の使用例を新聞DBで検索すると、近年非常に多いそうですが、それは政治家が好むだけではなくて、メディアがそのまま書くからじゃないかなあ、なんて気もするのですが…
ともあれ、なかなか好きなカテゴリーの本です。
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