737円(税込)
大学在学中、チェコの神学者・フロマートカの人生に惹かれた著者は、神学研究の志を秘め外務省に入省、ロンドン郊外でロシア語研修に入る。そして任官2年目、同じく亡命チェコ人で、社会主義国の禁書を扱う古書店主マストニークと出会い、彼を師として、宗教や民族、国家を巡る対話を重ねながら、世界の読み解き方を知る。自身の知的原点を明かす自伝エッセイ。『プラハの憂鬱』改題。
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作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏。本書は佐藤氏が26歳当時外交官に任官されて2年目の出来事を描いた小説です。佐藤氏と「複合アイデンティティーを持った境界線上を生きる人々」との交流が描かれております。
本書は異能の外交官であり、現在は作家として活躍する佐藤優氏が外交官となって2年目となる26歳当時のことを描いております。ただ…。僕は佐藤氏の作品をよく読んでいるので楽しく読めましたが、本書について深い世界に入っていくには佐藤氏の『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源 (角川ソフィア文庫)』(KADOKAWA)と、『紳士協定: 私のイギリス物語 (新潮文庫)』(新潮社)をお読みになる事をおすすめします。
本書で佐藤氏の「先生」となる人物はチェコは首都プラハにて古本屋を営む亡命チェコ人のマストニーク氏です。本書では若き外交官である佐藤氏とマストニーク氏との「対話」を通して佐藤氏のライフワークであるチェコのプロテスタント神学や、当時の東欧のイデオロギーであった東欧社会主義思想からスラブ民族独特の思考法、さらには国家の存在論から、亡命者の心理まで幅広いテーマが語られるのです。
ほぼ同時期に佐藤氏はロシア語の習得でイギリスはベーコンズフィールドにてスパルタ式のロシア語教育を受けているはずなのですが、よくもまあこんなにも複雑かつ濃い内容を習得できたものだなと(このときのことが後のロシアが以降に役立っているのだが)改めてその「怪物」ぶりに改めて舌を巻いてしまいました。
さらに、ロシア語学校での同級生で、成績が抜群のイギリス海軍中尉のテリーとその恋人でアメリカの少数民族である「ナバホ族」であるクリス。ロシア語教師のブラシェコなど、多彩な人物が複製的に「複合アイデンティティーを持ち、境界線上を生きる」
ことはどういうことなのかを我々に教えてくれるのでした。
本書の最後のほうでは当時佐藤氏と一緒に机を並べて勉強していたキャリア官僚である武藤顕氏とのやり取りが交わされているのですが、後に二人が道を違え訣別すると言う「運命」を知っているものとしては、最後のページをめくり終えると読後の充実感と同時に切なさもこみ上げてくるのでした。
※追記
本書は2018年1月27日、新潮社より『亡命者の古書店: 続・私のイギリス物語 (新潮文庫)』として改題、文庫化されました。
「続・私のイギリス物語」というだけあり、「私のイギリス物語」の副題がついた「紳士協定」の続編的著作。「紳士協定」がホームステイ先の少年との交流を中心に描かれておりとても読みやすかったが、この本は、チェコからイギリスへの亡命者の古書店との交流を中心に、思想・哲学的な話が多かったので、前著に比べると少し難解で少し時間がかかった。しかしロンドンでの生活はよく描かれており、興味深い内容であることは間違いない。やはり佐藤優の自叙伝はおもしろい。次に読みたいと思う本が本屋にほとんど置いておらず、何を読もうか思案中だ。
前作「紳士協定」と同時期の著者の回顧録。
亡命チェコ人の古書店夫婦達との対話・交流を描き、ソ連崩壊前のチェコスロバキア・東欧の空気感を教えてくれる。
前作のイギリス人の少年との付き合い、厳しい語学研修を受けながら、著者のキリスト教の研究資料探していた、著者のバイタリティには驚く。睡眠時間あったのかと?
本論ではないが、チェコ料理、所謂ご当地メシの美味そうな描写が、個人的には好きな個所だが、著者は相当食通だと確信した。
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