781円(税込)
瓦解する幕府の海陸軍軍医総裁となった松本良順は、官軍の来襲とともに江戸を脱出し会津に向かう。他方、ともにポンペ医学を学んだ関寛斎も、官軍野戦病院長として会津に進軍し良順と対峙する。そして、激動のなかで何らなすところなく死んでゆく伊之助。徳川政権の崩壊を、権力者ではなく、蘭学という時代を先取りした学問を学んだ若者たちの眼を通して重層的に映し出した歴史長編。
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全4巻、幕末から明治にかけて医学の進展に奮闘した蘭医たちを描いた松本良順を中心とした群像劇。
幕末、封建社会の因習に苦労しつつも、オランダ人ポンペから学んだ医学を武器に奮闘する人々。手塚治虫の「陽だまりの樹」でも描かれるテーマ。薩長や幕府からの視点の作品は多いが、いずれにも完全には属さない立場からの明治維新も面白い。
司馬遼太郎作品は何度読んでも面白いが、本作は初めて。まだまだ未読本も挑戦していきたい。
題名の謎が解けた。胡蝶の夢を見たのか、それとも自分が誇張で今夢を見ているのか。人間というのはちっぽけな存在で、社会という大きな引力に引き寄せられて、知らぬ間にその混沌の中に放り込まれてしまう。
医学史というテーマから、江戸の身分制を生々しく描き、その中で自分の存在する位置を定めながら器用に生きていくことを知らぬ間に強いられるのが、江戸時代。どんなことよりもその能力が呼吸するのと同じくらい必要で、どれだけ秀でた能力を有していても、その一点が欠けているだけで、社会から放り出されてしまう。社会とは一筋縄ではいかないとはいえ、勝手なものである。
医師が身分から外れて、僧と同じような扱いである理由がここでわかって良かった。そして、今も残念ながら根強い、医師と患者の関係性の発端も見えた気がした。
穢多非人という腫れ物のような話題についても書いてあり、非常に勉強になった。奴隷以上に蔑まれ、もはや人ではない身分も作ってしまう、そしてそれを受け入れてしまう、疑問に持たない社会が、ほんのちょっと昔にあったなんてやはり信じられないが、人間もなかなか成長しないわけで、そういう気概というのはなんとなく残っているのが、悲しいかな。
松本良順の名だけは知っていたが、幕府の人間として新撰組と関わっていたことがわかって良かった。というより、この作品を通して、医学史を大まかに学び、松本良順、ポンペ、関寛斎、伊之助、佐倉順天堂、伊東玄朴など、先人の足跡を追うことができて、充実していた。
この作家、ストーリーテラーじゃないから、複数人物の話を並行して描いても交錯の妙が全くないんですよね。
まぁそもそもそんなつもりもないのかもしれないですが、読むのが結構辛くなってくる、後半になればなるほど。
また、タイトルに意味があっても無くても究極構わないとは思うものの、こじつけ感満載なんですよね。。。
この小説は正直ちょっといただけないと思いますな。
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