869円(税込)
ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券ば持って居だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に……大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。
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井上ひさし『吉里吉里人』新潮文庫 読了。東北のとある村が日本から分離独立を宣言する長編小説。金本位制、先進医療、食料エネ自給自足、タックスヘイヴンなど、奇想天外な切札を駆使して独立の実現を目指す。相当くだらないが、独立戦略は大真面目。序盤に吉里吉里語の講釈に紙幅が割かれ親切であるw
初ひさしが本書。なぜか吉里吉里というワードが脳内に残っていて、ネット古本屋にて入手。売れない作家・古橋健二を狂言回しにして、吉里吉里国独立の瞬間から、日本国を相手取った独立闘争をユーモラスに描く。<引用>日本国の国益だが言う物、もう真平……『国益の為だ、増産すろ!』『国益の為だ、減反すろ!』……ズーズー弁で訴えかける国の横暴がひしひしと伝わる。話が横道に逸れることが多く、上巻は午前6時の独立から半日程度しか経っていない。冗長感は否めないが、作品の世界観を理解する役には立っている。
情報小説
三読目。日本SF大賞受賞。
小説全体、たいへん下世話で、下ネタが苦手なひとは読まないほうがいい。とにかく性器、性行を連想させる下ネタばかり。下ネタ大好き中学生ならぐいぐい読める。
ストーリー展開が奔放でめっぽうおもしろい。東北から吉里吉里国が独立するのだが、そのための切札をたくさん控へてゐる。その説明で蘊蓄の渋滞だが、とにかく説得力が高い。おれにでも分離独立できるのではないか、と感じ入ってしまふ。
中巻でケイコ木下が出てきたあたりから、すこしダレてくる。
ところどころ、都合よく進展させるために、古橋といふこの単純な人物造形にしたのだらうと気づいた。
比喩は下手。このころの井上ひさしはまだ途上だったなあ。晩年の『一週間』になるとさすが。
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