宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。だが、その地に着くや否や、八方からの夥しい殺気が彼を取り囲んだ。吉原には裏柳生の忍びの群れが跳梁していたのだ。彼らの狙う「神君御免状」とは何か。武蔵はなぜ彼を、この色里へ送ったのか。ーー吉原成立の秘話、徳川家康影武者説をも織り込んで縦横無尽に展開する、大型剣豪作家初の長編小説。
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初めて読んだ作家さん。
吉原の存在意義について独自の説を打ち立て、そこに家康影武者説や天海僧正=光秀説を取り入れ、かつ表裏の柳生家を絡めた豪華な内容なのに、単なる賑やかしではなくそれぞれがしっかり地に足がついている印象です。
他の作品も読まなければ!
▼薦める方がいて読んでみました。80年代ですかね。(男性本位的な)週刊誌全盛時代の娯楽時代劇。かつ、作者の方は長くテレビ脚本で、時代劇ドラマなどで、大活躍されてきたキャリアのようです。というわけで、しっかりした時代劇的な足腰と、疾走するアクションとエロスのオンパレードな男性向けエンタメ小説でした(笑)。
▼以下ネタバレ。備忘録。
▼肝は、作者の隆慶一郎さんが恐らくお好きな題材である、「徳川家康は関ケ原の前に刺客に殺害された。それ以降は影武者であった」というアイディアなんです。
もうとにかく、男性的ご都合エンタメが、たい焼きで言えば頭から尻尾までぎっちりと詰まった一品。あまりのマッチョイムズにしばし呆然とするほど。
こちらも男性なので、愉しめる部分も大いにあるんですが、あまりのことにさすがにドン引きすることもしばしでした…。
でも、山田風太郎さんの一部小説もこんな感じだったし、司馬遼太郎さんの初期エンタメ系もまあ大同小異なんで、「時代」だなあ、というのが正しい考え方な気もします。
1 江戸時代初期。天皇のご落胤、おとし子(赤ちゃん)が。
2 徳川幕府(2代将軍秀忠の意志)の刺客に殺されかかったが
3 偶然通りがかった剣豪・宮本武蔵に助けられ
4 出生の秘密を知らされず、武蔵と肥後(熊本県)の山中で成長、青年になる。ついでに無双の剣の達人にもなっている。
5 武蔵が死んだので、遺言に基づいて江戸・新吉原に行く。(いわゆる後任売春街の吉原のこと)
6 道中から、なんだか分からないけど「御免状はどこだ」とかっていう謎の忍者たち(柳生の方々)に襲われまくって、ことごとく撃退する。
7 吉原で自らを名乗ると、吉原の経営者たち重鎮がVIP扱いしてくれる。
8 吉原には謎の影の軍団みたいな忍者的な自衛団があって、強い。
9 それでもって柳生の者たちと暗闘を繰り広げていて、主人公も巻き込まれるが、連戦連勝する。
10 主人公は、花魁たちお姉さんにことごとく惚れられて、なんだかんだそのうちのAさんBさんとは男女の仲になる。
11 そのうちに謎の美女が熊野あたりから現れて、色々秘密を教えようと主人公と男女のコトに及ぶ。なんでだか分からないけれど、コトの最中に主人公の意識は(導かれ)タイムスリップして、以下のことを「体験」して知る。
(こうやって書いていると物凄い小説かのように見えるかもですが、実際に物凄い小説でした。ある意味、あっぱれです)
※家康は影武者だった
※その影武者はジプシー的な放浪民の一族だった
※その影武者が自分の元仲間たちに「吉原で後任売春街を作って自治権持っていいよ。俺も同類だしな」という「御免状」を書き残した。
(その文章を世に出されると幕府は困っちゃうから吉原に手を出せない。けれども裏で刺客を送っている。という設定になる)
※ついでに主人公の出自も。
12 そんなことと別に、遊女Bが柳生につかまり、むごたらしく惨殺される。
13 怒りのランボーと化した主人公が、柳生をほぼ皆殺しに近いくらいやっつける。
14 主人公は「吉原の経営者たちと手を取り合ってがんばっていこうかな」という決意で、京都へと旅立つ。おしまい。
吉原を舞台にした戦国から江戸の歴史の描き方がとても面白かった。強く素直な誠一郎に惹かれる人々の気持ちに共感でき、飽きることなく一気に読めた。
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