工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!
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これは小説なのかはたまたノンフィクションなのか。多分ノンフィクションに近い小説という表現が1番近いのだろうけど、色々考えさせられる内容だった。政府が舵取りをいかに誤ったか、いかに海外諸国に比べ日本が汚染物質を見境なく使用、排出し、自然を破壊してきたか。そして、いかに私達の胃に入る食べ物が、汚染されたものか…。
田んぼに飛び込み溺死する蛙の話には戦慄した。
普段から有機栽培や自然農法など、オーガニックなものをなるべく摂るよう気をつけて入るが、一層口に入れるものには注意しなければと感じた。政府が全く当てにならないのはこの時代も今も変わっていない。自分で調べ、考え、自分の身を守らなければ。
そして有吉さんのジャーナリスト魂には恐れ入る。インターネットもない時代、どこにでも電話をかけ出かけ、無知を恥じず分かるまで食い付く。この執念、行動力は肖りたいところだ。
「複合汚染」有吉佐和子著、新潮文庫、1979.05.25
514p ¥640 C0193 (2025.03.09読了)(2006.08.27購入)(1992.12.20/35刷)
☆関連図書(既読)
「沈黙の春」カーソン著・青樹簗一訳、新潮文庫、1974.02.20
「自動車の社会的費用」宇沢弘文著、岩波新書、1974.06.20
「クルマを捨てた人たち―自動車文明を考える」田中公雄著、日経新書、1977.03.25
「紀ノ川」有吉佐和子著、新潮文庫、1964.06.30
「華岡青洲の妻」有吉佐和子著、新潮文庫、1970.01.30
「出雲の阿国 上之巻」有吉佐和子著、中央公論社、1969.09.15
「出雲の阿国 中之巻」有吉佐和子著、中央公論社、1969.10.15
「出雲の阿国 下之巻」有吉佐和子著、中央公論社、1969.11.15
「和宮様御留」有吉佐和子著、講談社文庫、1981.07.15(1978.04.)
「恍惚の人」有吉佐和子著、新潮文庫、1982.05.25
「有吉佐和子スペシャル」ソコロワ山下聖美著、NHK出版、2024.12.01
内容紹介(楽天ブックスより)
工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!
とてもつかみやすかった。頭の中がいくらか整った。やはり環境問題も、足元や手元からみていかないと、ここにはない話しになってしまうのだなと。
ところでこの本だけでなく、「有吉佐和子」が残したものは、今の話しとしか思えないことが多くて驚く。さらに今では複雑にされて理解が困難にされてしまっているようなことが、余計な添加がされず、とてもつかみやすい。
「有吉佐和子」からエントリーしていたらよかっただろうにと思い浮かぶ人が何人もいる。
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