小さな川の流れを呑みこんでしだいに大きくなっていく紀ノ川のように、男のいのちを吸収しながらたくましく生きる女たち。ーー家霊的で絶対の存在である祖母・花。男のような侠気があり、独立自尊の気持の強い母・文緒。そして、大学を卒業して出版社に就職した戦後世代の娘・華子。紀州和歌山の素封家を舞台に、明治・大正・昭和三代の女たちの系譜をたどった年代記的長編。
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和歌山の旧家を舞台に明治から昭和にかけて四世代の女性を通して時代による価値観の移り変わりを描いた作品。
力作であることは間違いないが、庶民感覚とはあまりにかけ離れた大地主一家の価値観がそのまま時代を表しているとは決して思えず、そのせいで素直に読めなかったところが残念です。
紀ノ川上流の名家出身の花が嫁いでからの生涯が明治、大正、昭和の時代を経て語られる一代記。
花は古き良き伝統を守る模範的な女性であり、川を下っての厳かな嫁入りの描写は美しく、凛とした花の振る舞いや紀州弁の物言いも優雅で、前半は華々しくて素敵だった。
そこから劇的な展開があるわけではないけれど、時代の移り変わりにより、求められるものが変化していき、女権論者の娘との対立や「家」が崩壊に向かう様子が流れるように描かれていく。
ハッとさせられる表現があったり、女性たちの逞しさを感じたり、生命力溢れる魅力的な作品だった。
明治大正昭和を生きた紀州の女三代の話。豊乃、花、文緒、華子のタイプの違う女達の生き方に共感する部分反発したくなる部分が混ざり合い時代の移り変わりに心も揺れ動く。男尊女卑の中、強かに逞しく生きる姿に憧れを抱く。この一族に想いを馳せながら紀ノ川を見たくなる。
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