1,320円(税込)
「おうい」「おーうい」
仕事の合間、繰り返される呼び声。北斎の口ぐせ。
天才絵師の壮大な画業を支えた共作者、三女お栄の画号はここからきた。
光と影の女絵師・葛飾応為。
「美人画を描かせたら俺より上手い」と言わしめた、もう一人の天才。
署名を持たない絵を世界の美術館に探し、歴史の闇に隠れた女性の鮮やかな生涯を描き出す。
「おうい、どこいった」
〈目次〉
序 章 闇に消えた女
第1章 北斎の幽霊
第2章 応為誕生
第3章 光と影を描く
第4章 シーボルトのコレクション
第5章 長崎から来た男
第6章 北斎になりすました女
第7章 秘密の仕事
第8章 応為、夜を描く
終 章 応為はどこに消えたのか
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3.8。殆ど知ってる事ばかりだったが文章が上手く、面白く読み進めた。
ちなみに文中では「北斎と応為」の著者が出てきたり「眩」が話題として出てきたが、私の思う応為さんのイメージは山本昌代の「応為坦坦録」がしっくりくる。
「なりすました」って、随分強い言葉だと思うのですが、この本を読み終わった時には納得でした。
天才葛飾北斎の娘として、ずっと父の背中を見て絵と向き合ってきた応為こと栄。
炊事洗濯掃除が嫌いで、一度結婚したもののすぐに離縁され、その後ずっと父の仕事を手伝って暮らす。
一般的なイメージとして北斎は天才と思うのですが、実は北斎、めっちゃ勉強家。
若かりし頃、勝川春章に弟子入りしているにもかかわらず、こっそりとほかの流派にも弟子入りして絵を学び、結局師匠にばれて破門され、一匹狼の絵師としてやっていくことになる。
でもって、生涯絵の勉強を続けていたというのだから頭が下がる。
もちろん西洋画だって独学で勉強した。
でも、ダイナミックな構図と迷いのない描線は、やっぱり天性のものなのだろう。
父が反故にした紙を見ながら応為もまた独学で絵をものにした。
そしていつしか父親の片腕として、作画を手伝うことになる。
北斎自身が、女性画は応為にかなわないと認めるほどの腕前。
ではなぜ、彼女は父親の黒子に甘んじていたのか。
それは、北斎の名前で絵を描いたほうが高く売れるからだと、著者は語る。
また、時代的にも女性絵師が社会的に評価されていたとはいえなかったから余計だろう。
北斎として絵を描くことを自ら選び、父にも認められた応為。
彼女の書いた絵が何枚も紹介されているが、ぱっと見日本画とは思えないのです。
光と影のコントラストで、奥行きがあり、空間の力が強い。
朝井まかての『眩(くらら)』の表紙に葛飾応為の絵が使われていますので、見てみてください。
西洋人が描いた日本の風俗のように見えます。
指先の細やかさ、着物の柄の歪み、ほつれ毛等、女性なら出の細やかさでは北斎を圧倒する応為。
だからこそ、北斎の名で書かれた作品の中にある応為の作品が、後世次々に明らかになったのだ。
けれど、浮世絵としてのオリジナルを書く才能はやはり足りなかったとみえる。
北斎漫画を手本にして、父の作品をより良いものにしあげる腕は充分にあったのに。
大き過ぎる父親を持つ苦労はあったろうが、画家として満足のいく生涯だったのではないだろうか。
絵を描くことだけが幸せだった父子。
そういう生き方に圧倒された。
あぁ、これはおもしろかったなあ。。
北斎はファミリービジネスであった、という結論。晩年の北斎の絵が繊細さを増していったのは、応為の筆によるものであろうと。
なんだこの天才ふたり。
こんなひとたちが本当にいたなんて。
吉原の絵を見に、太田記念美術館に行きたい!
応為のドラマby宮崎あおいも同時に見る。
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