四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた……。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した! 新鋭の学園モダンホラー。
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恩田陸氏の作品の感想を書くとき、私は毎回同じ言葉を使ってしまう。「読んでいて気持ちいい」、と。ラストに賛否が分かれることが多い恩田氏の作品だが、私は1ページ目の数行に目を通しただけで、背骨に甘い痺れが走り、気持ちが高揚していくのが実感できる。
東北地方を舞台とした小説ということもあり、地元が岩手県の私としては妙な親近感を覚えながら読み進めた。田舎特有の閉鎖された社会と退屈な日常。その中で起こる事件は、逃げ場のない集落だからこそ、なぜこんな場所で起きてしまったのかという恐怖が、登場人物を通してじわじわと伝わってくる。読み始めの優しく美しい描写と、そこから恐怖を植え付けてくる描写の緩急が、相変わらず凄まじい。
近い場所に立つ4つの高校それぞれのメンバーで結成された『八津地理歴史文化研究会』、通称『地歴研』。都市伝説じみた噂を真剣に考察し、真実を探究するべく動く彼らの姿には、学生とはかくあるべし、と頷きたくなる。似た作風の作品を読んだことがある気がしていたのだが、地方都市に広まる都市伝説を追う学生たちを描くという点では、今村昌弘氏の『でぃすぺる』がそれに近いと感じた。あちらも私が好きな作品である。
物語が進むにつれ、登場人物たちの意外な関係が次々と浮き彫りになるたび、ご都合主義かといっときは眉をひそめたのだが、思い返してみれば物語の舞台は田舎町。地方の村社会では友人の友人が顔見知りだったりすることは多々あるものなので、その辺りは目をつぶることにした。
問題は終盤以降の展開だろう。恩田陸氏のデビュー作『六番目の小夜子』を含め、やはり広げ切った風呂敷を綺麗に畳むのは難しいのかと思ってしまうラストだった。この終わり方が好きな人もいるのだろうし、文体が好みなので私は苦にならなかったのだが、どんな終わり方をするのか期待して読み進めていたにもかかわらず、肩透かしを食らった読者はかなり多いのではないだろうか。まさに、『面白くなりそう』の状態で幕を閉じた物語だと感じた。
ロー・ファンタジーね。成程。◆「噂」を中心にどんどん進んで行ってしまう物語に、最初は戸惑ったけど、だんだん引き込まれていった。登場人物は多彩だったけど個人の魅力を出しきれてない気がした。もう少し長くてもよかったかな、という読後感。もっとこの眠った町の物語を見てみたかった
設定が好きすぎる、こんぺいとうの話とか、街の設定とか、全部刺さった!!
最後は幻想的な感じだけど、それがまたいい!!
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