2,200円(税込)送料無料
この商品が関連するクーポン・キャンペーンがあります(10件)開催中のキャンペーンをもっと見る
※エントリー必要の有無や実施期間等の各種詳細条件は、必ず各説明頁でご確認ください。
あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ
北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。
「なんで、死んだんですか。母は。癌とはこの間、聞きましたが、どこの癌だったんですか」
今まで疑問にも思わなかったことが、端的に口をついた。聞いてもどうしようもないことなのに、知りたいという欲が泡のように浮かんでしまった。
「乳癌だったの。発見が遅くて、切除しても間に合わなくてね。ミサエさん、ぎりぎりまで保健婦として仕事して、ぎりぎりまで、普段通りの生活を送りながらあれこれ片付けて、病院に入ってからはすぐ。あの人らしかった」(本文より)
【編集担当からのおすすめ情報】
絡み付いてね。栄養を奪いながら、芯にある木を締め付けていく。最後には締め付けて締め付けて、元の木を殺してしまう。その頃には、芯となる木がなくても蔓が自立するほどに太くなっているから、芯が枯れて朽ち果てて、中心に空洞ができるの。それが菩提樹。別名をシメゴロシノキ。
最果ての地北海道根室で、“多難の道”を歩き続けた女。最注目作家、入魂の大河巨編!
河崎秋子(カワサキアキコ)
1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)、14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、15年同作でJRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞を受賞。20年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
第一部第一章、昭和10年という時代の中で労働力として搾取され過酷な状況で過ごす10才のミサエが不憫で読むのがしんどい。
逃げてと思うが、10才の子が逃げるということはその後の道子が辿った結末になるしかないのか。
その後も何度も何度も逃げてと思うが、この時代、逃げるという選択肢自体がなかったのか。ちゃんと「虎に翼」見とけば良かったなと斜め方向の感想さえでてくる。
それでも、逃げられる時も逃げの選択をしないのだからミサエの気質なんだろうな。
なぜこんなにも、良かれと思った選択が不幸な方へ、不幸な方へといってしまうのか。
私かわいそうと自分の首を絞めているのは、自分だということなのか。
第二部、どうしてそういう結論をだしたのかあんなにもミサエを苦しめた吉岡の家に養子に出した息子、雄介の物語。
本の厚さと内容のしんどさから読了後、本を読み終わった!!と謎の満足感があります。
ひと昔、ふた昔前の道東の空気感を感じられる。
時代や場所や置かれた状況が原因であろう、いろいろと理不尽なことが主人公の人生に降りかかり、自ら善意で選択したことまで不幸を呼んで、いたたまれない気持ちになる。
現代社会の、何事もクリアで理路整然としたものを好む風潮とは正反対とも言える、半世紀以上前の得体の知れない暗がりと、理不尽な悪意に飲み込まれる。
人はどんな環境でも人とか関係をもっていかないといけない。それがいい関係でもたれば、悪い関係でもある。どんなに悪い関係でも、その関係を断つことができず、どんどん絡まりあって、自分を殺してしまう。でも、そこから抜け出せるのもどうかも自分次第である。
ランキング情報がありません。
ランキング情報がありません。
※1時間ごとに更新
東野 圭吾
990円(税込)
宮部 みゆき
1,100円(税込)
ヨシタケシンスケ
2,420円(税込)
山本ゆり
1,760円(税込)
墨香銅臭
2,420円(税込)