藩主の命によりローマ法王への親書を携えて、「侍」は海を渡った。野心的な宣教師ベラスコを案内人に、メキシコ、スペインと苦難の旅は続き、ローマでは、お役目達成のために受洗を迫られる。七年に及ぶ旅の果て、キリシタン禁制、鎖国となった故国へもどった「侍」を待っていたものはーー。政治の渦に巻きこまれ、歴史の闇に消えていった男の“生”を通して、人生と信仰の意味を問う。
まだレビューがありません。 レビューを書く
ずしんときました。エゴと宗教、個人と社会、信じることと組織、結局は全て人間が作ったものなのに、それを自分で複雑にして潰しあってる。汚いところを隠さないと綺麗には見えない。。。
読んでて辛いので★三つ!
キリシタンの迫害は何度読んでも辛くなります。
毎度のことながら、数千年ものあいだ、人間の欲、政に振り回される人の多いこと。。。
今も変わらず続いてること。。
本当に人間の世界は一番辛く、分かりにくく、生きるのに難しい世の中と感じてしまいました。
貿易のため、東北からヨーロッパに派遣されることになった侍が、道中に役目のためのキリスト教の洗礼を受けた。異国の地で帰国後の約束を夢見て過ごす最中、日本の情勢はどんどん変わっていっていた。長い旅路を帰ると命令自体が無意味なものとされおり、クリスチャンとなった責任を問われることになる。
無宗教に近しい日本人が宗教に触れ、なんのために、なぜそこまで神が必要なのか、不服ながら掴んでいく。
我こそが日本にキリスト教を布教できると息巻く野心家の宣教師は、日本人の文化や生き方に紐づいたふるまいを、不気味がりながらも実は最も捉えている。
侍の道中の葛藤、役目を果たせない絶望、諦めと辛抱、宗教に触れた際の心の揺れや拒絶感、家族への想い。宣教師の傲慢な野心、宗派への考察、理解しきれの日本人への恐れ、傲慢さへの気づき、最後の無謀な行動。
どれもが唐突感がなく矛盾がなく心に落ちてくる。語りから見えてくる人物像であれば、おそらくその選択をするであろうと思える。侍が過ごす東北の生活も、その心理と合わせて目に浮かぶように描写されている。
ランキング情報がありません。
ランキング情報がありません。
電子書籍のお得なキャンペーンを期間限定で開催中。お見逃しなく!
※1時間ごとに更新
阿部暁子
1,870円(税込)
湊かなえ
660円(税込)
染井為人
990円(税込)
Q矢
1,540円(税込)
顎木 あくみ
726円(税込)