ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説。
子供や青少年が経験する「受験」にまつわる野望と挫折を軸に、当時の本来的な学問に対する興味・関心、文学的反逆心、性への目覚め等の葛藤を、内面から精緻に描いた名作。「え!」というあっけない結末。もう少し続きが読みたかった気持ちが残ります。当時のヨーロッパにおけるエスタブリッシュメント教育では何が重視されていたかが分かり、勉強になりました。ところで、この小説について大切なことは、日本の若い人たちの悲惨さは今現在はもっと酷くなっているのではないかということだと思います。
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