見渡す限り桜満開の美しい情景が続く霊園ーー。志賀直哉の末娘の死を描いた「花がたみ」。旅の帰路に会った見知らぬ男性との、一瞬の邂逅を描く「鮨」。夏目漱石・内田百間の衣鉢を継ぐ「贋々作『猫』」……。詩情と諧謔に満ちた短篇小説の名品や、馥郁たる日本語の粋を尽した随筆類と共に、吉行淳之介・遠藤周作を偲ぶ座談会などを収録。70年近い著者の文筆生活を締め括る、最後の一冊。※新潮文庫に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
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阿川弘之の作品集『鮨 そのほか』を読みました。
阿川弘之の作品は昨年10月に読んだ『七十の手習ひ』以来ですね。
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志賀直哉への思慕、旧友への追憶、自身の文学観……。
文筆生活を締め括る最後の一冊。
見渡す限り桜満開の美しい情景が続く霊園――。
志賀直哉の末娘の死を描いた「花がたみ」。
旅の帰路に会った見知らぬ男性との、一瞬の邂逅を描く「鮨」。
夏目漱石・内田百閒の衣鉢を継ぐ「贋々作『猫』」……。
詩情と諧謔に満ちた短篇小説の名品や、馥郁たる日本語の粋を尽した随筆類と共に、吉行淳之介・遠藤周作を偲ぶ座談会などを収録。
70年近い著者の文筆生活を締め括る、最後の一冊。
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2013年(平成25年)に刊行された作品……引退宣言後の刊行で、で未刊行だった作品集です。
■花がたみ
■鮨
■贋々作『猫』
* * *
■阿部昭の短かかりし日々
■四十四年目のマンボウ航路
■宮脇俊三さんを悼む
■宮脇俊三『史記のつまみぐい』
■半藤一利『それからの海舟』
■世界最古の王室
■妃殿下、ハワイの休日
■クックス博士の思ひ出
■五里霧中の我が文学論
■蘆花と軍歌
■舷燈消して
■『雪の進軍』
■私の八月十五日
■「新型爆弾」が焼いた蔵書
■娘の顔
■伝統の社風
■駅前のルオー旧居
■志賀直哉とルオー
■志賀家の皿小鉢
■「白樺」の前にあった「白樺」
■志賀直哉の生活と芸術
■「暗夜行路」解説
* * *
■座談会 わが友吉行淳之介―阿川弘之 遠藤周作 小島信夫 庄野潤三 三浦朱門
■対談 良友・悪友・狐狸庵先生―阿川弘之 北杜夫 阿川佐和子
■あとがき―著者より読者へ―
■阿川弘之について思い出すこと 三浦朱門
短篇小説、随筆、座談会、対談など多彩な作品を収録した作品……旧仮名遣いで描かれているので、最初は読み難いかと思いましたが、意外とすぐに慣れてましたね、、、
文壇仲間や親交のあった作家たちとの思い出話は文学史の裏話のようで興味深いですねー 吉行淳之介や遠藤周作、安岡章太郎をはじめ、阿部昭、宮脇俊三、北杜夫……同時代を生きた作家たち、先立った友への思いは慨嘆は深かったですね。
阿川弘之の文章は、硬くて知的な印象がありますが、その中にもユーモアや皮肉が隠されているので、意外と愉しく読めました……そんな中で最も印象に残ったのは、地方都市での討論会で宴席を辞退したために主催者側が用意して持たされた寿司折に纏わる短篇小説『鮨』ですね、、、
寿司折には、胡瓜巻き、干瓢巻き、玉子巻き、巻き寿司が詰められていたが、東京帰着後に夕食の約束があることから、好物の太巻きの巻き寿司をひとつだけ食べて残りを持て余す……これ以上食えず、持ち帰っても冷蔵庫で数日滞留して捨てられる運命にあるが、捨てるに捨てられず というもどかしい気持ちに共感してしまい、自分事のように心をシンクロさせながら読むことができました。
あとは、阿川弘之が自身のことを良く自覚していたんだなー と感じて興味深く読めた随筆の『舷燈消して』ですね、、、
偏屈で頑固で心が歪んでいる とか、我儘な癇癪もちで、外で発散しかねる憤懣を家庭で別のかたちで爆発させる とか、しっかり自己分析できていたんですね……ちょっと意外でしたが、自分のことをしっかり描き残したいという気持ちの表れだったのかもしれませんね。
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