大正14年創業の老舗「嬉野温泉 大正屋」で湯どうふと美肌の湯を堪能

嬉野温泉 大正屋

「日本三大美肌の湯」の一つとして、全国に名を馳せる佐賀県の嬉野温泉。温泉街にある旅館の中でもクチコミ評価が高く、きめ細やかなおもてなしで心地よい滞在を約束してくれる宿が「嬉野温泉 大正屋」です。

大浴場や客室で思う存分美肌の湯を満喫し、自家製の嬉野名物「とろける湯どうふ」に舌鼓。創業約100年の老舗で過ごす、1泊2日の温泉旅をご紹介します。

 

 

「嬉野温泉 大正屋」へのアクセス

嬉野温泉 大正屋

大正14(1925)年に創業した「大正屋」は、嬉野温泉を代表する温泉旅館。建物は皇居新宮殿の基本設計も手がけた建築家・吉村順三氏の設計で、和風の客室ながら随所にモダンなテイストを感じられます。敷地内に3つの客室棟があるほどの広さで、お庭の散策も可能。また、嬉野温泉街の中心地にあるため、周辺観光へも行きやすい立地です。

 

嬉野温泉 大正屋

アクセスは、2022年9月に開業した西九州新幹線のJR嬉野温泉駅よりバスで約10分。今回はリンカーンリムジンで迎えに来ていただき、大正屋へと向かいました。

 

嬉野温泉 大正屋

車内は赤いカーペットが敷かれ、重厚感のある革張りのシート。VIP気分を満喫して気持ちが高まります。

 

湯けむりを見ながらチェックイン

嬉野温泉 大正屋

リンカーンリムジンでの優雅な時間を楽しみ、大正屋に到着。スタッフの丁寧な案内で、そのままフロントに向かいチェックインを行います。

 

嬉野温泉 大正屋
嬉野温泉 大正屋

広々としたロビーを進むと、窓の先に湯けむりを発見。ここは大正屋の自家源泉がある場所です。温泉が高温という点も嬉野温泉の特徴で、大正屋の源泉は85〜95度(調査時の気温/12.8度)。モクモクと勢いよく上がる湯気を見ると、美肌の湯への期待も高まります。

 

嬉野温泉 大正屋

佐賀は古くから焼き物づくりが盛んで、嬉野温泉は有田町や波佐見町など、焼き物の里とも近い場所。ロビーの隣には有名な陶芸家による1点ものの作品が多数展示されています。特に有田焼の陶芸家で、色絵磁器の技法が重要無形文化財に登録されている十四代酒井田柿右衛門氏の作品は要注目です。

 

建築家・吉村順三氏の意匠が息づく客室

嬉野温泉 大正屋

「本館」「東館」「離れ」の3棟から成る客室の中で、今回は「離れ和室」に宿泊しました。離れは純和風の客室から杉木立の日本庭園が見えることが特徴で、とても風流です。広さは8~10畳で定員は6名。

 

嬉野温泉 大正屋

「離れ和室」の設計の特徴は、広縁(ひろえん)が一段下がっていること。低い位置から庭園を眺めることで、より臨場感のある景色が目に飛び込んできます。これも建築家・吉村順三氏のこだわりです。

 

嬉野温泉 大正屋

バスルームは洗面所、内風呂、トイレが別で、客室のお湯は源泉かけ流し。ヒノキの浴槽でゆったりと過ごせます。

 

嬉野温泉 大正屋

アメニティとしてシャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、クレンジング、化粧水、乳液は詰め替え用ボトルで客室に備わっていますが、別で女性用・男性用のアメニティも用意されています。嬉野温泉の公式キャラクター「ゆっつらくん」がプリントされた袋もかわいらしく、大浴場に行く時に活躍します。

 

嬉野温泉 大正屋

温泉旅館らしく、館内着は浴衣。佐賀県鹿島市出身の染色家で、人間国宝の染色家・鈴田滋人氏を父に持つ鈴田照次氏が清らかな嬉野川の流れをイメージしてデザインしています。

 

嬉野温泉 大正屋

ひと息ついたら、美しく手入れされた庭園を眺めながらお茶の時間。嬉野は茶どころとしても有名で、深い緑色が特徴の嬉野茶を楽しめます。お着き菓子は嬉野銘菓「塩味まん頭」。嬉野茶の抹茶が入った落雁(らくがん)生地にあんこを詰めた和菓子で、嬉野茶との相性はぴったりです。

 

嬉野温泉 大正屋

大正屋の客室は全73室あり、それぞれに異なる魅力で滞在を楽しめます。「本館和室」は本館5階〜7階に位置する10帖の和室。高層階から嬉野の町や山々を見渡せます(定員5名)。

 

嬉野温泉 大正屋

離れ和室と同じく、本館和室も広縁が一段下がった設計。純和風の空間に宿る意匠に感銘を受けます。

 

蛇口からも温泉が出る「四季の湯」でお肌ツルツル

嬉野温泉 大正屋

ゆっつらくんがプリントされた袋に必要なものを詰め、待ちに待った温泉へ。大浴場「四季の湯」は植物に囲まれた広大な空間の中で思う存分、美肌の湯を堪能できます。

 

嬉野温泉 大正屋

温泉に入る前に身体を洗っていると、いつもより肌がなめらかなことに気が付きます。不思議だなぁと思って蛇口をみると、「熱い温泉水にご注意ください」という文字が。そう、蛇口から出るお湯も温泉なのです。

 

嬉野温泉 大正屋

泉質はナトリウム一炭酸水素塩・塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)。ナトリウムを多く含む重曹水が角質をなめらかにしてくれます。「四季の湯」ではバブルバスや打たせ湯でも、温泉を楽しめます(もう一つの大浴場「滝の湯」は、2023年2月まで改修工事中)。

大正屋の宿泊者は「四季の湯」のほか、大正屋グループが運営する宿「椎葉山荘」などの温泉も無料で利用可能。施設間は無料送迎バスが運行しており、趣の異なる温泉めぐりを楽しむことができます。

 

嬉野温泉 大正屋

湯上り後はティーサロンで水分補給。ここでは7:00〜21:30の営業時間中、ジュースやお茶、コーヒーなどがフリーで楽しめます。

 

佐賀の旬を味わう豪華な会席料理

嬉野温泉 大正屋

夕食は本館1Fのお食事処「平安の間」で会席料理を。大正屋では旬の食材に合わせて2カ月ごとに献立が変わり、この日は冬限定(11~12月)の料理をいただきました。

まずは食前酒「自家製梅酒」、先付「蕎麦羹」「クラゲ白酢和え」「醍醐豆腐」「イカ柚子胡椒」、中皿「有頭エビ 鮭酢〆」、焼物「サワラ巻繊(けんちん)焼き」、蓋物「ゴボウ東寺巻き 鳥つくね」がずらりと並び、冬においしい根菜や脂がのった魚を使った豪華な料理の数々に胸が高鳴ります。

 

嬉野温泉 大正屋

美しい器は佐賀県の陶磁器を中心に使用。色絵が美しい有田焼や、料理を引き立てる唐津焼など、目でも楽しめます。

 

嬉野温泉 大正屋

料理は地酒と合わせるのもおすすめ。嬉野温泉街にある井出酒造の「虎之児 純米生貯蔵酒」は、佐賀の酒米「さがの華」を使用した、米の旨みあふれる味わいです。

 

嬉野温泉 大正屋
嬉野温泉 大正屋

続いて吸物「モズク真薯(しんじょ)」、造り「タイ、ヒラス(ヒラマサ)、カジキ、イカ」が登場。嬉野は山に囲まれているものの、玄界灘や有明海にも近いことから、新鮮な海の幸も味わうことができます。

 

嬉野温泉 大正屋

蓋物「蟹饅頭羽二重蒸し」も職人の技が詰まった料理。卵など材料を丁寧に裏ごしし、茶碗蒸しよりもなめらかに仕上げた一品です。ズワイガニが入った餅饅頭とともに、口の中で溶ける食感を楽しみました。

 

嬉野温泉 大正屋

工夫を凝らした料理が続く中、最も印象的だったのは「特選牛味鍋」。厳選した牛ロース肉を上品なお出汁にくぐらせていただくしゃぶしゃぶです。

 

嬉野温泉 大正屋

この日は佐賀牛で、驚くほど柔らかな牛ロースに感激!

 

嬉野温泉 大正屋
嬉野温泉 大正屋

最後は御飯「嬉野棚田米」、止椀「田舎味噌」、果物「取り合わせ」。嬉野の清らかな水で炊いたお米は粒立ちがよく、艶やか。嬉野の町に広がる棚田で育ったお米を農家直送で仕入れており、秋〜11月は新米も楽しめます。ワイン入りの蜜とともに真空調理した林檎と白胡麻のプリンをあしらったデザートまで、合計12品を味わい尽くしました。

 

嬉野温泉 大正屋

一日の最後は、客室のヒノキ風呂で源泉かけ流しの温泉を満喫。源泉は高温ですが、食事前に浴槽にお湯を溜めておき、入る直前に温度を調整することで、美肌の湯を源泉そのままで楽しむことができます。泉質の良さを実感しながら身体を温め、スタッフが敷いてくれた布団で眠りにつきました。

 

自家製の名物「とろける湯どうふ」が絶品の朝食

嬉野温泉 大正屋

翌朝は夕食と同じく「平安の間」で朝食。焼き魚、温泉たまご、煮魚など温泉旅館らしいおかずの数々に、ごはんとしじみ味噌汁がついた和定食です。ごはんは「嬉野棚田米」か「嬉野茶粥」を選択可能。お粥は緑茶で炊いており、優しい風味に癒される味わいでした。

 

嬉野温泉 大正屋

朝食のメインは自家製の名物「とろける湯どうふ」。大正屋自家製の豆腐を嬉野の温泉水で炊いています。温泉水で炊くことによって豆腐が溶けてトロトロに! そのまま食べて大豆の甘みを堪能したり、ゴマ醤油や薬味を入れたり、好みの味付けで楽しめます。

 

嬉野温泉 大正屋

自家製の豆腐は、宿から少し離れた自社工場で毎朝作っている出来立て。早朝からスタッフが丁寧に仕込んでいます。

 

嬉野温泉 大正屋

余計なものは入れず、原料は嬉野産の大豆「フクユタカ」と天然の本にがりのみ。まさに、ほかでは味わえない逸品です。

 

とろける湯どうふや佐賀の焼き物をお土産に

嬉野温泉 大正屋

宿を後にする前にお土産選び。館内の売店には嬉野茶など地元の名物、名産品がそろっています。お着き菓子の銘菓「塩味まん頭」もおすすめです。

 

嬉野温泉 大正屋

佐賀らしい焼き物も思い出に残るお土産です。「やきものの店」に並ぶのは、何百万円の最高級品から毎日使いたくなる身近なものまで豊富なラインナップ。お気に入りの作品が見つかるはずです。

 

嬉野温泉 大正屋

朝食で食べた豆腐が気に入った人は、宿から徒歩約2分の場所にある「大正屋 湯どうふ本舗」へ。豆腐をはじめ、さまざまな商品を購入できます。

 

嬉野温泉 大正屋

特に人気なのは「とろける湯どうふセット」。豆腐、温泉どうふ用調理水、胡麻豆腐、薬味がついており、2丁入り(2,160円)と3丁入り(2,700円)を販売しています。お歳暮の時期には注文が殺到するそうで、贈り物にも喜ばれますよ。

 

お肌がツルツルになる温泉に癒され、湯どうふをはじめとする料理を満喫できる「嬉野温泉 大正屋」。食事、温泉、客室、サービス、すべての満足度が高く、「泊まってよかった」と口コミを投稿したくなる宿です。心地よいおもてなしでくつろげる、老舗の温泉旅館に泊まってみませんか。

 

嬉野温泉 大正屋

住所
佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙2276-1
アクセス
嬉野温泉バス停より徒歩約2分、JR嬉野温泉駅よりバスで約10分(無料送迎あり※要予約)
客室数
73室
チェックイン
15:00
チェックアウト
10:00

取材・撮影・文/小浜みゆ

 

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