693円(税込)
おいしいものを食べているときと、いとしいセックスをしているとき、女は一番幸せになれる。台所で立ったまま生玉子かけごはんをすする自由。深夜のラーメン屋で相席になった男とのラブアフェア。恋人の裏切りを知った後に食べるチーズの官能。逝ってしまった大切な人たちを想いつつ縁先で傾ける日本酒と肴。味覚と心を研ぎ澄まし、人生の酸いも甘いも楽しむ女たちを祝福する、美味なる短編集。
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短編小説なので時間がある時にサクッと読み進められて良かったです。
この本を読んでいて、
あ、意外と思い出と食って繋がっているんだなぁと思いました。そうすると、そこに恋や性も絡んでくるわけで…。
本の内容自体がものすご〜く面白いっていうわけではなかったのですが、人の人生を覗いた楽しさや、自分のことを思い出すきっかけにはなりました。
◎好きな話
・ピクニックの支度をしたが父がこなくて
泣きながら食べた母の話
▶︎そう、母も泣くんですよね。私も、母が泣いてる姿を見て、母も1人の人間なんだ、弱い時だってあるんだ、そう思いました。子どもの前では強くいようとしてくれるものの、母も1人の女性の人生を歩んでいる。かつて、そう気づいた時、自分はちょっと親離れしたというか、心が少し独立したような気持ちになりました。
・ラーメン↔︎ の話
▶︎自分的にラーメンってなんか元気な時に食べたいもので、エネルギッシュの象徴。彼とハシゴ酒して、一晩の…という流れになんだか若い頃を思い出して懐かしいような気持ちになりました(笑)
・函館のカフェの話
▶︎北海道の寒そうな白い景色と、カフェに入った時や彼との関わりで感じられる心身のぬくもりみたいなものが良かった。
・おはぎの話
▶︎物語の最後は、読みながら本当に春の夜の生ぬるい風を感じるようでした。すぐに次の話を読み始める切り替えができなくて、一度本を閉じて、しばらくその先を想像して余韻に浸ってました。
◎この本を読んでて思い出した自分の恋と食の思い出
・まだ恋愛経験が浅い頃は好きな人とご飯に行くと緊張して喉を通らず、全然食べられなくなりました。普段はよく食べるのに。可愛いかった時もあったなぁと思います(笑)
・自分勝手だった年上の元彼は、奢ってやった感を出してきて嫌だったなぁ。当時彼が社会人、私が大学生でした。私が社会人になってから同じお店に1人で行き、自分のお金で食べました。もうあの時のあなたの年齢に追いつきましたけど、そんな恩着せがましくしないのに!って、思いました(笑)
・その後何回か恋をして付き合ったり別れたり片思いのまま終わったりしましたが、失恋するたびに、たくさん泣いて、食事が喉を通らなくなったなぁ…。ある元彼に浮気されて別れた時は、人間不信になり本当に何も食べられなくなりましたが、母が作ってくれた海苔巻きと、父が買ってきてくれたケーキが美味しくて、当時なぜかそれだけは食べられて、今でも思い出します。
・流行りのマッチングアプリなどでも何人かお会いしましたが、酒ばかり飲みたがり(飲ませたがり)誠実なフリして誠実じゃない男。お金を持っていることをチラつかせたり、たくさんの優待チケットを見せてきたり、連れて行ってくれたご飯は美味しかったけど、金や物で釣ろうとしてるのが滑稽だった男。色々でした。
・その後、過去1番(?)の大恋愛だった元彼と別れ話の決着をつける日。私の家に来てもらったのですが、待ってる間、私は唐揚げを揚げました。今思うと、何で?って感じですが、本当に何ででしょう。待ってる間の手持ち無沙汰が辛かったのと、もしかしたら、ワンチャン美味しい手料理に後ろ髪引かれて考え直してくれるとでも思ったんでしょうね。彼は一つつまみ食いして「美味しい」と悲しそうに笑ったのに、話し合いの末、去っていきました。好き同士だったけど、働き盛りの自分達はお互いの仕事が忙しすぎて互いに負担になってしまい、気持ちとしては未練が残る別れだったのです。
しかし私は、閉まっていく玄関で大泣きしてから、割とすぐにキッチンに戻り、冷めた唐揚げを1人もりもり食べました。今までで1番辛い失恋だったのに、今までの失恋は毎回食べられなくなっていたのに、何故かいつも通り食べられて。強くなったのかな?何か自分の中の"気"が、これで良かったんだよ、強く生きろと背中を押してくれているような。そんな夜でした。
・↑の大失恋の後に出会った男性との初デートで、私の好物の食べ物が有名なお店に連れて行ってくれました。私は、実は来たことがあったのですが、初めてのフリをしました。もりもり食べる私を優しい目で見つめてくれて、不慣れな彼が一生懸命調べてくれた気持ちが嬉しかったので。結婚し、今でも何でも話せる相手ですが、このことだけは話していません。あの時は美味しいお店連れて行ってくれてありがとう〜って言ってます(笑)隠し事したくなくて本当のことを言いたくてウズウズしているけど、夫の"自分が調べた店で喜んでくれた"という体を保つことにします(笑)
そしてまさにこの本を読み終わる頃に突然「唐揚げ食べたい」と言われて、「今夜は唐揚げにしよう」と伝えると、いつもに増して飛んで帰ってきた夫。温かいままの唐揚げを、2人で一緒に食べた瞬間、幸せを感じたと共に、あの時泣きながら唐揚げを食べた私に、別れを選んで大正解だよ!と心の底から思いました。
・・・と振り返って、なんだかんだ恋の数だけ、その相手との食の思い出もあるのかも。なーんて思いました(笑)
今はもう新しい恋はしないけど、人生の節目、節目、辛い時、幸せな時、また違った形で食との思い出が増えて行くのだと思います。最近は人生最大の悲しい出来事があり、気分転換に本を読み耽っていますが、こうして1人カフェでコーヒーを飲みながら過ごす時間も思い出になるのかもなぁ。
図書館で見つけた、なんか全部当事者にしかわからない気持ちを表現してる短編集だった
誰にも理解されないような変な感情は誰にでもあると思うし、それを食べ物とうまく結びつけてる話が多かった
焼き鳥大好きだから出てこなくてちょっと悲しかった、けどおはぎ美味しそう
食と性の話。
恋愛経験の少ない私には共感できない部分が多かった。でも、いつかこういう風に感じられることができたらおもしろそうだなと少し羨ましく思った。
いつでも自分が優先で。相手にハマることができない自己愛が強い部分は、恋愛を楽しむのには少し邪魔なのかなと思ったり。自分を相手に合わせずに一緒にいられる人に出会いたい反面、自分を変えても良いと思えるくらい夢中になれる人に出会いたい気持ちもある。
周りが結婚していく中、先の見えない自分の将来を憂うこともあるけれど、悩んだとて良い人が現れるわけでもないから今できることをやっていこう。
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