660円(税込)
広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命ーー。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける!
WOWOWドラマが始まるので、読んでみようかなと思いました。クーポン利用もあるので電子書籍にしてみました。
タブレットでも、携帯でも読める点は良いと思いますが、まだ価格が高いです。半額くらいになぜならないのかな。
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1985年の日航機墜落事故を中心に、日本航空がモデルになっている小説であるということだけは知っていた。どこまでをフィクションとして、どこまで事実として読んでいいのか分からないけれども、読めば読むほどに、大事故が起こりそうな会社の体質に、腹が立ってくる。
平成生まれの人間から見ると、職場の人間関係や実際の仕事の中に、まだ、戦前の名残りが大きく残っていることのリアリティが、印象的だった。共産党員に対する警戒心や「アカ」というレッテル。治安維持法で捕まり転向した転向者。学生運動をしていた経歴。第二次大戦時に戦闘機の整備をしていた整備士や、パイロット。元華族出身であることのステータス。今の人間からすると、もはやあまりぴんと来ない様々なお互いの人間の見方が新鮮だった。
そういった意味では、労働組合の委員長として、労働者たちの待遇改善のために会社の経営陣と戦い、僻地への報復人事を受ける恩地の姿も、新鮮に映るものだった。今でも、春闘など組合による団体交渉のニュースなどは、目にすることがあるが、小説ということを差し引いても、その切実性と熱量に、現代との差を感じる。まだまだ問題があるとはいえ、こういった運動をしてきた歴史のうえに、今の労働環境があるのだなと思う。
だからこそ、家族の生活と自身の健康を犠牲にしてまで、組合の委員長として働き、不当な僻地への長期赴任に耐える恩地の姿は、かっこよくもありつつ、共感はしづらい。終身雇用の時代の、一つの会社の中で生きていく時代の人間の感覚が垣間見える。
今のところ、読んでいて気持ちのいい小説じゃない。ただ何か、読まされる凄みがある。
山崎作品を小説で読むのは初。全5巻というボリュームにビビってしまっていたが、育児の合間をぬって数日で読了してしまうほど引き込まれるストーリーだった。大企業の人事でここまでされるとは、時代錯誤なのかなんなのか。1人の人生をここまで狂わせることができて、それを自己保身のためになんとも思わない人がいることに驚きを禁じ得ない。
主人公が組合員を想うために信念を曲げないのだとしたら、日本に残された組合員側に、信念を曲げてでも帰ってきてほしいと言ってあげてほしいわ、となるほどだった。この苦境の経験が3巻以降の展開にどう絡んでくるのかが気になる。
2001年(発出1999年) 410ページ
『この作品は、多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基き、小説的に再構築したものである。』
小説の冒頭にあるとおり、この物語は日本航空と日本航空社員・小倉寛太郎氏をモデルとした作品です。山崎豊子さんの小説は初読みですが、綿密な取材によるリアリティ、スケールが大きくまた美しい自然の描写、しっかりとした人物造形、骨太な文章で、1冊目でとても好感を持ちました。
モデルとなった時代背景や登場人物も古風な趣きを感じさせますが、魅力的な人物が多かったです。
主人公の恩地、私は大好きです。確かに、立ち回りは下手くそで家族・親戚を悲しませ、怒らせているけれど、正義を貫き通したその姿勢は誰にも真似できない。もし、他の誰かが同じ目にあったら、多分その人はあっという間に精神を病んでしまうんじゃないかな。それほど今と違って情報の少ない中東・アフリカ地域は過酷だと思う。
1巻・アフリカ編は、アフリカに赴任中の恩地のサバンナでのハンティングの描写から始まり、そして、労働組合委員長だった過去への回想へ。
主人公・恩地がとても正義感が強い。そして団体交渉の描写もリアリティと迫力がある。敵役として登場する人物で、1番卑怯で許せないと思ったのは八馬、そして行天。2人とも恩地側の人間だったこともあるが、徹底的に嫌な人物として描写されている。
会社側の報復人事としてカラチ赴任。そして、僻地への任期は2年と内規で規定されているにもかかわらず、その後の10年にも及ぶ中東・アフリカでの物語が幕を開ける1巻目である。
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