定年後の嘱託も辞め、独り暮らしの沖本信也。そこに幼い少女を連れた女性が現れた。テロと銃撃が横行する日本で、信也は二人を守り抜くと決意。役所勤めの経験を生かし、意外なルートで軍事境界線を突破、あらゆる危機を回避していく。だが、なぜそこまで身を懸けるのか? 緊迫の頂点で、秘めた言葉が血と嗚咽とともに迸る!
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歴史修正シリーズ立て続けに読んでみました。修正が小さい分現実感はあるのですが、だったら、そのままでもいいような気もして、モヤモヤしています。
近未来の日本、国連軍との戦争に敗れた後の内戦下、テロや銃撃が頻発する中で、逃亡する女性とその娘を命がけで守ろうとする主人公の姿を描いたハードボイルド作品。
朝鮮半島に高麗連邦という統一国家ができ、居留民保護と救出に乗り出す前に先制攻撃を仕掛けた日本は、駐留米軍による国連軍としての攻撃を受け、わずか40日で降伏する。
その後、多国籍の平和維持軍が進駐、それまでの野党勢力が中心となった国民融和政府が成立した。しかし、旧日本政府の継続政権を自称する盛岡政府が東北を中心に権力を握る。 主人公・沖本信也は、両勢力の境界線に近い二本松市で市役所を退職し、年金生活を送っていた。
彼の元へ、仙台から逃げてきたという酒井真智と由奈の母娘が現れる。真智は、平和を求める活動が盛岡政府の反感を買い、危険が迫ったことから、軍事境界線を越えて、知り合いの多い東京への逃亡を目指していた。
沖本は、真智が大学時代に活動を共にしていた女性の娘であったことから移動ルートや人脈の面で協力するが、アクシデントもあり、自らも逃亡を余儀なくされることとなる。
真智が仲間の組織と連絡を取り、安全な場所を確保しようとするが、その組織にも旧政府側の人物が入りこみ、3人に迫る危機の緊迫度が増していく。
背景には南海トラフ地震、福島第一原発事故、コロナ感染なども盛り込まれているが、あくまでもサスペンスを楽しむ逃亡小説である。また、現在、他国で生じている戦禍を日本への警鐘とするシミュレーション小説でもある。
ただ、逃亡に関する描写は東北、関東、都内の交通網や駅名、地理的状況が次から次へと細かく描写され、リアルさがある反面、地理感のない自分にはうんざりするばかりだった。
また、背景に組み込まれた自然災害や事故との因果関係も特に感じられず、伏線としての要素もなく、深く、じわっと味わう要素は少しもなかった。
近未来、戦争と内戦で荒廃する日本が舞台となる逃避行劇。背景が徐々に明らかになるのが中盤からなので多少もどかしいが、後半は一気に読み切った。
内戦状態の国々や戦禍のウクライナで起きている事は、多くの日本人にとって対岸の火事としか思えないかもしれない。しかし、日本が同様の事態に陥る事はあり得ず荒唐無稽なフィクション、と誰が言い切れるだろう?
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