la favola 平 剛 interview balcone di guji 虎の穴vol 7

balcone di gujiと縁のあるブランド、デザイナーに迫ってきた虎の穴シリーズ。

少し間が空いてしまったので、この企画自体が忘れ去られているのではないか?!と思ったりしていますが、気長にやっていきますので何卒御贔屓に。

という事で今回は取り扱いスタート時からスタッフ、お客様から高い人気を得ているla favola(ラファーヴォラ)。
そのデザイナーである平 剛氏にこれまでの経歴やブランドの事、そして今回オリジナルで作って頂いたコートのお話を伺うことが出来ました。

バイヤー 高階(以下、高階):では、よろしくおねがいします。

デザイナー 平 剛氏(以下、平):よろしくおねがいします。

高階:早速なんですが平さんの経歴を伺っても良いですか。

平:もともと父方、母方共にテーラーを営んでいたので洋服を縫うという事は身近だったんです。最初は縫製会社に就職しまして、そこで洋服づくりを学びましたね。もちろん会社に設備は揃っていたので、そのぐらいの時期から自分で生地を買ってきてイージーパンツなんかを作って遊んでましたね。

高階:既にその当時からご自身で作られたんですね。

平:もちろん遊びでしたけどね。

高階:当時の平さんはどういったスタイルだったんですか?

平:やっぱりDCブランドですよね。COMME des GARCONSだったり、Y'sとかですね。

高階:時代の全盛だったころですよね。

平:そのぐらいの時にヨーロッパへ放浪の旅に行きましたね。

高階:単身で行かれたんですか?

平:いえ、友人達とですね。ローマ、ミラノ、スイス、ドイツ、オランダ、ベルギー、パリ、ロンドンとかを2か月ぐらいかけて回った感じです。
その時にパレ・ロワイヤルの近くにあったJean Paul Gaultierのお店を見て感化されたりしてね。

高階:あ〜良いですね、羨ましいです。その後帰国されてからはどうされてたんですか。

平:正直、縫製業って良くも悪くも裏方のお仕事なんですよね。なので表舞台とも言える洋服屋というのに勤めてみたくなったんです。
それでシップスに入りましたね。その当時田野さんもウィメンズの店長をやられてたんじゃないかな。

働いているうちに、その当時の店長から企画の担当はどう?と打診があったんですけど、それをお断りしてDRESSTERIORに入りました。

高階:それは店頭スタッフで入られたんですか。

平:そうです。2年ぐらいお店に立ってその後バイヤーになりました。
ただ、それ以前から西日本のVMDを任せてもらってて色んな店舗を回っているのは楽しかったですね。
岩佐さんもその当時お店によく来てくれて、洋服の話ばっかりしていたよね。

岩佐:そうですね、良くお店に行っていろんな質問をしてました。平さんは僕の先生ですからね。

平:当時はイタリアもののシャツ1枚でも珍しかったですから、これはこういう名前で呼ぶんだという事を僕も言いたかった時期だったんですよね。 (笑)

高階:その当時も洋服は作られていたんですか?

平:その時は作ってなかったですね。家にミシンもなかったんじゃないかな。
ただ、昔から好きで着ている洋服がボロくなっていくのは悲しいじゃないですか、なのでパタンナーの方に依頼してパターンだけ残しておいて、いざという時に自分で作ってみようと思って。

高階:おぉー!それは凄いですね。
la favola(ラファーヴォラ)を始めるきっかけもお伺いしたいです。

平:その当時は僕もピッティに行く機会があったりして、自分用に縫ったジャケットを着ていったりしてたんです。

高階:その時に久々に作られた感じですか。

平:そうですね。ただ若い頃からやっていたことなので、縫う感覚に違和感はなかったです。
で、現地で実際に着ていると仲の良い方達はそれがどういったものなのか聞いてくれるんですよね。

高階:確かに気になる方が着用されているものに関してはついつい聞きたくなります。

平:そうすると、日本に帰ってきてから本当に作って欲しいと依頼してくれる方が多かったんですよね。それをきっかけに始まっていったという感じです。
その時に、あ、あれはおべんちゃらでは無かったんだなと思いましたね。

高階:当時はオーダーメイドのみでその後プレタポルテも始められて、ブランドを世に出していこうと思ったのは何故なんですか。

平:それこそ、今そこにいる柴谷、鈴木(Edit & Co., Ltd.)とご飯を食べる機会が良くあって、その時にやった方が良いと何年も薦めてくれてたんですよね。
で、二人にお世話になるという形でスタートした感じです。自信は無かったんですけどね。
でもはじめてみて、素直に楽しいですよ。環境にも恵まれてると思います。

高階:なるほど、そういうストーリーがあったわけですね。素敵です。
ちょっと話は変わるんですかgujiに対してはどういう印象をお持ちですか。

平:ん〜そうですね。抽象的な表現になってしまうんですけど、gujiって凄く強い服屋だなと思うんですよね。これ使えるかな?(笑)

一同:(笑)

平:やっぱり皆さん服が好きですよね、それが伝わってきます。展示会でも挨拶もほどほどに、すぐに洋服を見てくれるじゃないですか、ああいうのを見てると良いなと思いますね。
でもあんまりこういう事言って持ち上げてると思われるのも嫌なんですけどね。(笑)

一同:(笑)

平:あと散々着倒してくれるじゃないですか、そういう所とかは嬉しいですけどね。

高階:確かにそうですね、僕も着倒してます。(笑)

高階:ではここからは僕らがお願いして作ってもらったコートについてお伺いしたいと思います。
最初に作成をお願いした時ってどう思われましたか。

平:僕らなんかに依頼してくれるんだと思いましたよ。素直に言ってもらえて嬉しかったですね。

高階:そうだったんですね、、、もっと早く言えばよかったです。(笑)
平さんとしては僕らのようなイタリアものをメインで扱うお店でセレクトされるという事について、思われる事とかってあるんですか。

平:ん〜そうですね・・・・僕としてはあまりそういったことは気にしていなくて、単純にそのお店にスタイルがあればどうこなしてもらっても良いというスタンスなんですよね。
バイヤーの方達もこれが良いと思って買い付けてくれてるものなので、そこに対してはフラットという感じです。

高階:なるほど、それぞれのお店で色々な提案があっても良いと。

平:そうですね。

平:まず生地なんですが、ウールのフラノっぽい見た目なんですがSUPER100'sのライトメルトンを使用してます。
組成で言うとドビーですね。本来メルトンってもっとこう粗野な感じなんですけど、それよりも上品で光沢感があるものになっています。

ライトメルトンという方が伝わりやすいとは思うんですけど、ドビーと表現する方がカッコいいかなと。
生地をあまりなよっとし過ぎたものにしてしまうと、構築的にならないのでそういった部分でもこのチョイスは良いんじゃないかと思います。

高階:確かに品があって良いですよね〜、僕も凄く気に入ってます。
シルエットはどうでしょうか。

平:ラグランってどうしても肩が張るものが多いじゃないですか。それがどうしても気になるので、僕が作るコートはどこから見ても円錐になるようにしています。
少しマントに近いような感じですね、ただそれもやり過ぎると現実と違和感が出るのでそういった部分は気を付けています。

実際に着てもらうとツーリングコートのような振袖になっているので、自然と少しだけ前振りになるのもウチらしいところかなと思います。

高階:聞いているとワクワクしますね、もう欲しいですもん。(笑)

一同:(笑)

平:袖のアジャストもクッと締めたいので、ボタン位置にも遊び心を持たせてますね。こうすることで見え方がふくよかになるんです。
本当に小さなことなんですけど、こういった積み重ねの部分が大切なんです。

高階:たしかに、意外とここまでキュッとなるコートって少ないかもしれませんね。
あと、着てみるとあまり重さを感じないもの良いですよね。

平:実際にコートを手で持つと重いんですが、着ると肩の傾斜のおかげで重さが分散されるようになっているからなんです。
あとはオーダー通りにした感じかな、袋ポケットにしたりボタンを出したり。

高階:gujiがセレクトしているアイテムの特性上、きちんとしたサイズ感で着ないといけないと思われている方も多いんですが、実際のところサイズを上げて着ても良いもんですか。

平:もちろん、そういう風に色々悩んでもらえたりするのが嬉しいですし、その時が実は一番楽しいんじゃないかな。

高階:そうですね、確かに今どっちのサイズにするか選んでるの凄く楽しいです。

平:あとは、しのごの言わずに着てみてください!(笑)

一同:(笑)

高階:名言ですね!ありがとうございます!

平:こちらこそ、ありがとうございました!



balcone di guji 虎の穴

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