文久2(1862)年9月14日、横浜郊外の生麦村でその事件は起こった。薩摩藩主島津久光の大名行列に騎馬のイギリス人四人が遭遇し、このうち一名を薩摩藩士が斬殺したのである。イギリス、幕府、薩摩藩三者の思惑が複雑に絡む賠償交渉は難航を窮めた──。幕末に起きた前代未聞の事件を軸に、明治維新に至る激動の六年を、追随を許さぬ圧倒的なダイナミズムで描いた歴史小説の最高峰。
まだレビューがありません。 レビューを書く
R6(2024).4.13~5.4
(きっかけ)
友人からもらった。
(感想)
吉村昭先生の本、2冊目。
1冊目は「桜田門外の変」。
その時(2016年)の感想は、「様々な資料をもとに、関係者がどのように動いたかを淡々と綴っており、教科書みたいで読みにくい!」でしたが、今回は「それがいいね~」でした。8年で私も成長したのでしょうか。
吉村先生の本を読むと、司馬遼太郎先生に叩き込まれた「長州藩すげえ」が、「長州藩、運がよかっただけでちょっとアレですね…」になりますね。勉強になります!
で、「生麦事件」自体はこの上巻の最初に終わってしまって、「え、もう物語終わったんだけど…」となりましたが、このあとの描写がこの小説のメインなんですね。
上巻では、生麦事件発生→幕府とイギリスの交渉(ここがメイン)→イギリス艦隊が薩摩へ。薩摩は迎え撃つべく武装強化
まで。
さてさて、この後は、まだ長州藩の暴走と、薩摩藩の成長がみられるのでしょうね。楽しみ!
かなり早い段階で事件が起こって、これからどうするん?と思ったけど、その後のほうが大事なのね………。攘夷と外国協調路線、薩摩藩、幕府、朝廷それぞれの思惑とパワーバランス。激動期をダイナミックに描く。
「法に従ったとはいえ、殺すのはよくない」「事に付け込んで列強が攻めにくる」。倫理面、政治面から薩摩側を責めたくなりがちだ。当の藩も嘘の言い訳をし、暗に非を認めている。ただ、当時の国際世論はあながち一方的でもない。NYタイムズは被害者側の無礼さこそを断罪している。攘夷は無謀だ。しかし、その後の歴史が証すように抵抗することで独立が保てた。生麦事件、下関戦争。どんな争いにも多面性がある。幕府、薩摩、長州、列強。今のところでどこにも肩入れして読んでいない。後編、薩英戦争。新たな視点が得られることを期待する。
ランキング情報がありません。
ランキング情報がありません。
電子書籍のお得なキャンペーンを期間限定で開催中。お見逃しなく!
※1時間ごとに更新
阿部暁子
1,870円(税込)
染井為人
990円(税込)
顎木 あくみ
726円(税込)
楠木建
935円(税込)
最賀すみれ
858円(税込)