792円(税込)
マッターホルン、アイガー、グランドジョラスと、女性で初めてヨーロッパ三大北壁に挑む淑子、新婚山行をドリュー西壁に試みる美佐子……医師と彫刻家、仕事を持った二人だが、ますます岩壁登攀に青春をかけていく。対照的な二人の女性登山家の姿を通して描かれる、山とは何か、山になぜ登るかへの問い。『孤高の人』、『栄光の岩壁』につづく、三部作の掉尾を飾る山岳小説の傑作。
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『孤高の人』『栄光の岩壁』より面白かった。好みだと思うけど。生まれる前に書かれた本と思えないほど、引き込まれた。
実話を元にしてるだけあって、人間関係もリアル。
物語として読んだけど、改めて考えると、この時代に女性がすごい。
p37
感情を殺してはいるが、その言葉は淑子の胸を打った。先輩と後輩の関係がこのような温かい形で現れたことが嬉しかった。
p345
救助隊だと思ったとき、杉山は、彼らしくもなく、その場にひろみを背負ったまま座り込んだ。稜線上には風のために雪が吹き飛ばされて、氷板を覗かせているところ、雪をかぶっているところ、所によっては吹き溜まりもあった。その稜線を、強風をものともせず、ほとんど走るように近づいて来る先頭には、駒井淑子がいた。
女性が厳しい登山をするとき、筋力や体力の面で男性より不利になることが多い。それでもこの時代に、女性クライマーが優れた技術を身につけて歴史に残る登攀に挑んだ偉業を知ることができてよかった。
2人の女性クライマーの、静かで強い意志、男性に甘えようとしない自立した心、人の命を守ろうとする優しさと責任感に感銘を受けた。
冬の谷川岳の吹雪と雪崩、アイガー北壁の落石地獄の場面では手に汗を握る。登攀中に準備された温かい食事は、この過酷な環境の中の、温かい部分として際立っていた。
実在する2人の女性クライマーがモデルだからこそ、この迫力と切なさがあるのだろう。読了後の喪失感がずっしりと残る。山は命を簡単に飲み込んでしまう恐ろしいものでありながら、取り憑かれたら離れることができない魅力をもつと改めて感じた。
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