572円(税込)
「健康道場」という風変りな結核療養所で、迫り来る死におびえながらも、病気と闘い明るくせいいっぱい生きる少年と、彼を囲む善意の人々との交歓を、書簡形式を用いて描いた表題作。社会への門出に当って揺れ動く中学生の内面を、日記形式で巧みに表現した「正義と微笑」。いずれも、著者の年少の友の、実際の日記を素材とした作品で、太宰文学に珍しい明るく希望にみちた青春小説。
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『正義と微笑』は日記形式、『パンドラの匣』は書簡形式で展開される。
2作品とも太宰の作品とは思えないほどの瑞々しさを感じる青春小説だった。
特に『正義と微笑』の青年の精神的な成長過程は、読んでいるこちらが励まされるような清々しさがあった。
正義と微笑の勉強の話。
何故かずっと心のどこかに引っかかっている。
久松達央さんとお会いしたとき、耕す、カルチベイトということと、考える、ということが繋がった気がした。
本を読むことで、心のどこかに種が蒔かれ、永い時間の中で、急に芽吹くこともあるんだな、と改めて思った。
しかし40年近く経って、ということがこれからあるかといわれると、歳だし、それはもう期待しづらいのかな。
パンドラの筺。
少し、新しい古い、ということに拘りすぎていて、そこがイマイチ飲み込めなかった。
単に表層的な表現の問題に過ぎないのかもしれないけど。
表題作の他に『正義と微笑』を収録。
何度かの自殺未遂や心中未遂、パピナール中毒治療を経て、精神安定期の作品と思われる。
『正義と微笑』は、弟子の弟(?)の日記に着想を得たらしい。これを執筆した当時、太宰は三十代だったそうだが、それよりも若い、十代の主人公の溢れ出るエネルギーが感じられる。
『パンドラの匣』についても、何故か不穏な空気が感じられない。
両作品とも、内容より著者の精神状態を読むのに意識が行ってしまった。
評価を星二つにしたのは、単に私が日記形式、書簡形式が苦手だからである。
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