禁断の恋の果てに自殺した母。その記憶に囚われる46歳の編集者・千津は、編纂中のアンソロジーに「月狂ひ」という幻想短編を収録する許可を得るため、作者の遺族である倉田柊介のもとを訪れる。その日から、身も心も灼きつくすような恋に堕ちていくとも知らずに……。作中小説の世界をなぞるかのように、狂気にも似た恋へと誘われていく男女の、静謐なる激情の物語。『月狂ひ』改題。
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話自体は古い印象。年配同士の不倫話のはずが、意外と透明感があり、純粋に切ない気持ちになった。最後がなんとも言えない終わり方で、モヤモヤ感は消えない。
「月狂ひ」の男女と重なるような母と千津の恋愛。どんなに用心していても恋に陥ってしまったら、どうしようもない。
本は、自分がどのような状況にあるかによってその読み方、受け止め方は大きく違ってくる。今の自分じゃなきゃ、けっ、と思って投げ捨てていたかもしれない。今の自分は共感できる所、できない所、感じながら読めた。
内容自体について言うと、月狂い、母の恋愛、どっちも中途半端に感じられ、わざわざ話を絡めている意味もないような。いや、千津の思考や意思決定に母の出来事が全て支配しているという話の構成は分かるけど。でもそれがゆえに、こじつけているようにも感じて白けてしまった。
そしてなによりも、そこまで確信できる本気の恋愛なら、なぜお互い家庭を捨てない?千津に小さい子供でもいるならともかく、子供もいないならできない事はないでしょう。なのにしない。結局本気の恋愛ではないんですよ、と思ってしまうと肝心な所でこの本の内容に共感できずに終わってしまった。
どうせなら、母のできごとなど結末に影響を与えるような余計なネタなど絡めず、本気の恋愛なのにどうして家庭を捨てる事ができないのか(つまり、本気じゃないとどうやって気づくのか、もしくは諦めをつけるのか)、なんていう所を徹底的に掘り下げたドロドロした話の方が良かったかな。
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