968円(税込)
歴史は繰り返すーー英国議会政治の善し悪し、三百年前の欧州における投機バブルから、米内光政など日本政治史におけるリーダー論まで、現代日本が抱える問題の相似形が、世界史を繙くことで見えてくる。十八世紀のヨーロッパや近代の日本に、「現代」と格闘するためのヒントを探る、卓抜なるアフォリズムに満ち溢れた、偉大な歴史家による最後のエッセイ集。
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高坂正堯は新潮選書に4冊の著書を残しているが、そのうち最も有名なのは『 文明が衰亡するとき 』だろう。没後20年を機に復刊された本書は高坂34歳の作品で、最も早い時期に書かれたものだが、師猪木正道をして「文字通り一気に読み通した。そしてこの書物の面白さと、密度の高さに驚くとともに、私は今さらながら高坂正堯氏の国際政治学者としての実力に舌を巻いた」と言わしめたように、既に大家の風格を備えている。
隔離された環境下で生きてきたタスマニアの原住民が滅亡した原因は、ヨーロッパ人が持ち込んだ病原菌であるという事実から、 高坂は生体の免疫システムの微妙なバランスに着目する。「人間にとって有害なバクテリアも、より有害なバクテリアを抑制するという機能を果たしている。 だから、それらが絶滅すればさらに有力なバクテリアが人間を苦しめる・・・」これは「悪」を他の「悪」との相対的な関係性において捉えるものであり、様々な「悪」を含んだ多様性こそが「悪」への免疫力を高めるという理解へと通じる。こうした発想は高坂の文明論と国際政治論の根底にも流れている。
高坂の国際政治学は伝統的なリアリストの系譜に連なるもので、勢力均衡を重視するが、それは単なるパワー・ポリティクスではない。単一の勢力による一元的支配の忌避、つまりは多様性の尊重なのである。高坂の父正顕は高名なカント研究者だが、高坂は世界平和を唱えたカントが決して世界国家を志向しなかったのも、国家間の競争、即ち多様性が文明の原動力であると考えていたからだと言う。外部の世界に対して自国の論理の一元的な貫徹を主張しがちなアメリカの強さが、実は内部の多様性であることも見逃さない。
だがこうした多様性への愛は「個性の尊重」や「民族自決」といった抽象的な原理や価値観、あるいはヒューマニスティックな理想主義からくるのでは必ずしもない。多様性が「悪」への免疫力を育み、何より変化や危機への文明の対応力と耐性を高めることに高坂は注目する。その意味で高坂はやはり徹底したリアリストである。一見すると統一感を欠く雑多なオムニバス形式の書物だが、高坂の文明観、国際政治観を貫く思考スタイルが凝縮された名著である。
多分初めて読んだと思う、この著者の本を。
その昔、テレビでよく出ていた論客の印象がありますが、果たしてその記憶が正しいのか?定かではありませぬ。
でも愛国心に係る自意識の重要性、どの時代、どの場所でも通じる指摘かと。肝に銘じまする。
久しぶりにまともな歴史分析の本を読んだ。世界や日本の歴史が、結局は今までの人類のどこかで起こったことのアナロジーでしかないということがよくわかった。ただし、どのイベントのアナロジーであるかということは、結局はある程度の時間が経った後でないとわからないので、すぐに歴史が役立つかとなると少々疑問な気がする。いずれにしても著者の歴史に対する知識の深さに感銘した。
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