539円(税込)
たっぷりとたてがみをたたえ、じっとディープインパクトに寄り添う帯同馬のように。深い森の中、小さな歯で大木と格闘するビーバーのように。絶滅させられた今も、村のシンボルである兎のように。滑らかな背中を、いつまでも撫でさせてくれるブロンズ製の犬のように。ーー動物も、そして人も、自分の役割を全うし生きている。気がつけば傍に在る彼らの温もりに満ちた、8つの物語。
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8編すべてに動物が登場する。
読み終わって、人も動物もみんな孤独だという思いを抱いた。それは決して悪いことではなくて、孤独な存在がそれぞれ感じられることが小さな光のようだった。
特に好みだったのは「愛犬ベネディクト」だった。祖父と孫ふたりの生活にはベネディクトという存在が必要なのは分かったけれど、ブロンズ製の犬を中心とした生活に、この家庭の喪失が浮き彫りになっている気がして胸が締め付けられた。手作りドッグフードを食べて病気にまでなっているのだ。この生活はいつまで続けられるだろう、と悲しくなった。
ラストの「竜の子幼稚園」も悲しかったけれど、空っぽの心にじんわりと温かい余韻をくれるような物語だった。
小川さんの小説を読むと、わけもなく悲しくて、塵ホコリいっぱいの古い部屋の整理をしているような気持ちになるのなんでだろう。
この本は動物がテーマになった短編集だけど、動物がはたしてほんとに生きてるか、実在するのかすらもわからなくなるのなんでだろう。
気に入った2編
- ビーバーの小枝
緩やかに繋がり関係し合ういのち。
一生懸命に手元の小枝を食んで、残るのはその痕跡だけ
- チーター準備中
特別なコトはなくて、誰もがかけがえのない特別
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