俺たちは掘って掘って、掘りまくる。惨めな人生をひっくり返す「金塊(奇跡の一発)」を掘り当てるまでーー。
この場所を明かした者は死を覚悟すべきであるーー。生意気な新入り《ラップ小僧》、殺人の前科者《縮れ男》、ゴミ箱で発見された捨て子《マカク》……。アマゾン最深部にある非合法の金鉱山は、「掟」に従うならば、どんな人間でも受け入れる。泥に塗れ黄金を探す男たち(ガリンペイロ)の虚栄と嘘、微かな真実。NHKスペシャル、待望の書籍化!
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アマゾンの奥地に非合法で金を採掘している場所がある。そこは法の及ばない掟が支配する場所。そこで働く男たちを描いた作品。
何年か前にNHKスペシャルで「ガリンペイロ」というドキュメンタリーを放送していた。その書籍版、ということらしい。しかし、ドキュメンタリーとは内容や手触りが大きく異なっている。半小説・半ノンフィクションといった感じだろうか。登場人物達の生き様や心中をあぶり出すかのように丁寧に人間を描いている。想像で描いている部分も大きいのではないか。吉村昭のノンフィクション小説に近い。
主人公という訳ではないだろうが、新しく鉱山にやってきた一人の若者に焦点を当てている。おしゃべりで口だけは良く回る自信家で野心的な若者。昔の自分はここまでではなかったが、昔の自分の若さ故の傲慢さを見ている気になった。「おまえ使えないからいらない」と言われる所も同じだ。その後、失意の中で空虚さを抱えて働くところも似ている。昔の自分を見ているようで痛い。
鉱山には様々な人がいる。いい人がいない訳ではないが、たいがいろくでなしだ。だからろくでもないことを言う。ろくでもないことをする。ろくでもないことでケンカになる。ろくでもない理由で人を殺す。読みながら、昔会ったろくでもない奴のことを、ふと思い出してしまう。でもあの頃は、ろくでもない奴が何故ろくでもないのか?というところまでは考えが及ばなかった。
自分が今いる世界は、このガリンペイロ達の世界よりは大分マシだ。絶対的な支配者がいる訳ではない。悪事は法律によって罰せられる。悪意はオブラートに包まれている。取り分として70%も搾取されることはない。でも洗練されているだけかもしれない。程度の問題であって本質的には同じかもしれない。行き場のない男が老いて行きつく先も似たようなものだ。先世界中どこへ行っても、アマゾンの奥地でも。
国分拓(1965年~)氏は、宮城県出身、早大法学部卒のNHKディレクター、ノンフィクション作家。2009年にアマゾン奥地の“最後の石器人”と呼ばれるヤノマミ族と150日間過ごしたドキュメンタリー番組・NHKスペシャル「ヤノマミ~奥アマゾン 原初の森に生きる~」を制作し、同番組を書籍化した『ヤノマミ』で大宅壮一ノンフィクション賞(2011年)、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(2010年)を受賞。
本書は、アマゾンの奥地に未知の世界を追うNHKスペシャル「大アマゾン・最後の秘境」シリーズの第2集として、2016年に放送された「ガリンペイロ~黄金を求める男たち」を書籍化したもの。
私は暫く前に『ヤノマミ』を読んだときに、GPSが全世界をカバーする21世紀において、おそらく唯一アマゾンの奥地には我々の知らない人間の世界・社会が残っていることを知り、驚くと同時に、やはり、とも思ったのだが、今般たまたま新古書店で本書を目にし、興味を惹かれて読んでみた。
本書の題名の「ガリンペイロ」とは、アマゾンの密林の最深部にある闇の金鉱山で、一獲千金を夢見て金鉱を掘る男たちのことである。その「闇の王国」は「黄金の悪魔」が支配し、公的権力も一切及ばず、そこに集まるのは、前科者、親に捨てられた者、極貧の暮らしから抜け出そうとする者。。。いわば最底辺の男たちである。そして、そこにおける決まり(掟)は極めてシンプルで、ガリンペイロは、前科の有る無しを問われず、本名を名乗る必要はなく、黄金さえ掘っていれば何をするのも自由で、凶器を持つのも自由で、黄金の取り分は30%(黄金の帝王が70%)、(黄金の帝王が支給する米と豆以外は)食べ物は自分で得なければならず、住む小屋も自分で建てなければならず、金鉱山の場所を明かしてはならず、他人の黄金を盗んではならない、というものだ。
話は、何人かの主要なガリンペイロたちを中心に進んでいくのだが、残念ながら私はNHKの放送を見ておらず、内容が完全なノンフィクションなのか、事実をベースにしつつも創作が加えられているのかは、正直わからない。(私はノンフィクション作品をよく読むが、我々と文化も環境も言語もこれほど異なる対象を、ノンフィクションでここまで描き切ることは相当難しいのではないかと思う)
ただ、(仮に多少の創作が加えられているとしても)世界にはこうした、普通の日本人には想像すらできない社会が存在しているのを知り、単純に「すごい世界があるものだ」と感じることにも意味はあるのだろう。
(2024年5月了)
30%
ってな事で、国分拓の『ガリンペイロ』
ブラジルの秘境の地、即ち無法地帯の金鉱山で金を採掘する男達をガリンペイロと呼ぶ。
そのガリンペイロ達は殺人者、ヤク中等の犯罪者や素性の知れないならず者ばかり。
そんなガリンペイロが一攫千金を求めるノンフィクション話。
なんじゃけど、わし的にはノンフィクション感はあまり感じ無く、題材に対しては綺麗過ぎる内容じゃったかな
こう言うアンダーグラウンドな話はもっとディープな驚きや恐怖を期待してしまうからじゃろね
一攫千金には足りんけど、昔、親が買ってきたスクラッチクジを削ってたら100万円当てた事があったんよ‼️
ガリンペイロは金鉱主から掘り当てた金の30%を貰えるが、この時のわしは3%しか貰えなかった…
そんなわしはガリンペロリス……
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