生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた──「死顔」。明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿──「クレイスロック号遭難」。さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。
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新潮文庫 吉村昭 「死顔」
「理想の死」をテーマとした遺作短編集。実際の著者の死(点滴とカテーテルを自ら抜いた死)が、正常な意思の中で行われた「理想の死」だったことがわかる
多くの家族や友人の死を看取り、多くの人間の生を描いてきた小説家の「理想の死」が、尊厳死と呼べるのか?生の放棄なのか ?考えさせられる
死顔を家族以外に見せないよう すぐ焼骨せよ、という願いも、人の死を知りすぎたゆえの配慮なのだろうか
著者にとって「理想の死」
*限界ぎりぎりまで 生きても苦しいだけだが、生きる努力を放棄すべきではない
*死期を自ら悟ったのなら、延命措置はせず、薬服用と食の拒否により自ら死を迎える
「死顔」吉村昭著、新潮文庫、2009.07.01
159p ¥340 C0193 (2021.06.30読了)(2021.06.29拝借)
【目次】
ひとすじの煙
二人
山茶花
クレイスロック号遭難
死顔
遺作について―後書きに代えて 津村節子
解説 川西政明
☆関連書籍(既読)
「戦艦武蔵」吉村昭著、新潮文庫、1971.08.14
「零式戦闘機」吉村昭著、新潮文庫、1978.03.30
「遠い日の戦争」吉村昭著、新潮文庫、1984.07.25
「三陸海岸大津波」吉村昭著、中公文庫、1984.08.10
「平家物語(上)」吉村昭著、講談社、1992.06.15
「平家物語(下)」吉村昭著、講談社、1992.07.20
「桜田門外ノ変 上巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
「桜田門外ノ変 下巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
「生麦事件(上)」 吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
「生麦事件(下)」 吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
「戦艦武蔵ノート」吉村昭著、岩波現代文庫、2010.08.19
「彰義隊」吉村昭著・村上豊絵、朝日新聞、2005.08.19
(「BOOK」データベースより)amazon
生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた―「死顔」。明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿―「クレイスロック号遭難」。さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。
歴史小説とは異なった著者の短編集。「ク号遭難」がここに含まれてるのがよくわからないが、一貫して死生観をテーマにしたもの。近い人の死を間近に見てきた著者の想いがよくわかる。家族は強い共同体で例え兄弟であっても一線を画すもの。死顔は家族以外に覗かれたくないもの。2019.6.1
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