440円(税込)
新宿角筈村に剣術道場を構える老剣客・日影一念は、臨終の床で、なぜか二人の内弟子、白根岩蔵と成子雪丸に、自分の遺体と共に秘伝の書を土中に埋めよと言い残す。だが、剣の極意を極めたい一心の岩蔵は、遺言にそむき、秘伝書を奪って出奔する。村人たちに頼まれて道場を継ぐことになった雪丸は、岩蔵の行方を探りつつ道場を守り立て、角筈村になくてはならない人物となるが……。
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昔の世も今の世も人間の性はあまり変わらないものだなと感じる。考え方も人それぞれなら、生き方もそれぞれ。どうすることがよくて、どうすることが悪いのか、全くもってよくわからない。
本書では師の遺言を巡り、対照的な人生を歩むことになった二人の青年剣士の姿を描く。一人(成子雪丸)は遺言に従い日々を送る中で師の道場を引き継ぎ、町になくてはならない存在に。一方の一人(白根岩蔵)は、遺言に背き、秘伝の書を持ち逃げしたことで、自ら町を去る羽目に。しかし、その後の人生を見る限りは決して悪人というではなく、寧ろ人に好まれる性格の持ち主であったようだ。紆余曲折の人生であるが、最終的には剣術大会で引き抜かれた形である道場の後継者にまでなった。
それぞれの人生を通して人と人との繋がり、十人十色の思惑などから、生きることの面白さであり難しさを改めて思い知ることのできる作品である。
二人の青年剣士を描いた長編小説。ただ二人の運命は対照的なものになる、この前編では剣の師匠の臨終の言葉に逆らって「秘伝の書」を奪い出奔した白根岩蔵と弟弟子成子雪丸の前半生を描く。池波正太郎氏最後の新聞連載小説。
平成二年の初版で,36刷だそうだ〜新宿角筈村の名主に拾われた子は,名主宅に盗賊が押し込むのを察知して,隣の道場主・日陰一念に報せ,奪われた金を取り戻すことに貢献し,その後道場で成長した。一念が危篤に陥り,呼ばれたもう一人は年長の白根岩蔵であった。臨終の際,秘伝書を遺体と共に埋めることを命じられたが,雪丸が名主宅に報せに云っている間に岩蔵は秘伝書を盗み逐電した。雪丸はいずれ岩蔵が返して寄越すと信じていたが,果たして岩蔵は返したくとも惜しい気持ちの間で悩み,大久保八郎と名乗って両総・大阪と放浪し,牛堀道場で修業し,やがて上野の水野道場の跡継ぎとして指名される。隠し通せないと踏んだ岩蔵は雪丸とひっそり遭って秘伝書を返し,跡継ぎ反対派との暗闘を繰り広げる〜途中,眠ってしまうこと一度。居眠りは二度。後半の展開は?
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